愛光学園 校舎エリア[SCHOOL VILLAGE] 設計主旨
大成建設 設計本部 設計室長 井内雅子
井内 雅子Inouchi Masako
一級建築士、インテリアプランナー
1966年 |
大阪府出身
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1988年 |
日本大学理工学部建築学科卒業
同年大成建設入社 |
現在 |
同社設計本部設計室長、
日本大学理工学部非常勤講師 |
・代々木ゼミナール本部校 代ゼミタワーオベリスク 日本建築学会作品選奨 BCS賞(建築業協会賞)グッドデザイン賞など
・柏たなか病院 照明学会照明デザイン賞優秀賞
・学術論文「超高層建築における形態と構造の統合」 日本建築学会 建築デザイン発表会 顕彰発表 など
代々木ゼミナール小倉校・神戸校・岡山校・熊本校・本部校、代々木ゼミナール岡山・熊本・札幌女子・小倉学生寮、大成建設技術研究所 土質岩石実験棟、
日本化薬高崎厚生棟、筑波学園都市STAFF研究所、日本ピグメント事務厚生棟、伊豆一碧湖教会、南青山ブルーサンクポイント(商業施設)、
武蔵野美術大学サテライトキャンパス、聖マルチン病院 など
コンペの際に理事長様から、生徒を中心に考え、使いやすく、魅力のある校舎を自由な発想で提案してほしいとのお話がありました。私は今までに様々な建築を設計してきましたが、一貫して心掛けているのは、用途による既成概念にとらわれず、お客様の建物として何が最適なのかを考え、お客様のニーズを超える建築を目指し創ることです。学園様、理事長様からのお話、ご要望をありがたくお受けし、愛光学園のブランド力を高める「AIKO ORIGINAL」を実現したいと思いました。
それは、周りの豊かな環境を生かし、大空、光、そして緑が息づき、生徒、教員に親しまれる学舎です。そして次の3項目をコンセプトとして設計しました。
次に各建物についてご説明します。
建築には長寿命とメンテナンスのしやすさに配慮し、天然の木材やタイルなど自然の温もりを感じられる素材を使います。構造は耐震性に優れる鉄骨造ブレース付ラーメン構造とします。ブレース造は地震時の変形が小さく、地震時の被害を最小限に抑えます。このように、たくさんの「AIKO ORIGINAL」が盛り込まれた、今までにない、学校の概念を超えた建築である校舎エリア[SCHOOL VILLAGE]を、学園の皆様の想いと共に、全社一丸となって実現してまいります。
体育館外観
聖ドミニコ広場
正門
体育館外観
聖ドミニコ広場
正門
大山建設設計事務所 代表者 大山 博
大山 博Oyama Hiroshi
大山建設設計事務所 代表者
1948年
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東京生まれ
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1971年
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日本大学理工学部建築学科卒業
同年清水建設入社 |
2008年
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教育文化施設計画本部 本部長
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2012年
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大山博建築設計事務所設立
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日本建築学会作品選集
2009南山大学付属小学校、2004山梨学院シドニー記念水泳場(山梨県建築文化賞)
1998白河ゴルフ倶楽部、1993タラサ志摩(中部建築賞、省エネルギー建築建設大臣賞)
1990モス河口湖ヴィレッジ(東京建築賞、山梨県建築文化賞)
教育文化施設
北海道文教大学 鶴岡記念講堂(2016)、大阪星光学院中学校・高等学校(2009)
仁川学院小学校・中学校・体育館(2009)晃華学園中学校・高等学校(2007)、
京都大学船井哲郎記念講堂・交流センター(07年)麹町学園中学・高等学校(2003)、
鎌倉女子大学大船キャンパス(2003神奈川県建築コンクール)、
流通経済大学新松戸キャンパス(2004千葉県建築コンクール)、
高知国体 くろしおアリーナ (2001高知市都市美デザイン賞)、
聖ウルスラ修道院・カトリック一本杉教会(2013照明デザイン賞)
愛光学園キャンパス整備計画は学園の「固定化されたイメージと異なるアイデンティティのある学校、60年以上使い続ける建築」等の基本方針に沿って進められました。設計事務所3社と大手建築会社2社による5つの提案が出され、計画の妥当性、機能性、デザイン、品質、性能と実績、コスト等の評価を行いました。何より他に例のない斬新なコンセプトを基に提案された大成建設案が「学園の未来を托す新校舎に相応しい計画案」と判断しました。
教員棟を中心に置き、円形校舎で取り囲む配置は、教師と生徒の一体感の中に新たなコミュニケーションが生まれると期待します。現地で建物位置を確認した時、実感として公園や斜面の緑に囲まれ、曲面の廊下に沿って生徒たちが歩く空間を想像し楽しみに思いました。このコンセプトを活かし、教職員をはじめ関係者が心を一つにして、生徒のため、未来のため、より良いキャンパスが創られると信じています。
旧校舎の図書館、マリナ館は既存建物の中に新しい機能を組み込んで、卒業生たちの記憶を継承する形で図書館、博物館、大講義室、和室として再生します。更にカフェテリアを新設、聖ドミニコ像を中心に公園のように緑化された文化交流施設として整備し、多様な交流や学習が図れるキャンパスとなります。新校舎と、この広場は並木のアプローチで本部棟ブリッジへと繋がり、緑に包まれたキャンパスの一体感を創り出します。正門も柔らかな曲線として歩道を設け、地域に開かれた明るく安全な雰囲気となります。
体育館はグランドに直接面し、アリーナ、柔道場、付属施設も充実させて新校舎からも渡廊下で直接2階に繋がれています。講演やイベントなど講堂として利用するときは電動で階段状の観客席が設けられ、落ち着いた雰囲気の空間となります。さらにテニスコートや弓道場、多目的グランドなどを整備してクラブ活動の充実も図りました。文化交流施設、体育施設は地元業者による設計施工業者選定を行い、技術面、コスト面、実績で最も優れた提案を行った門屋組を選定しました。着工から新校舎引越まで約19か月、それから竣工まで約19か月かかります。2社の持っている高い技術力を結集して、長く使い続ける健康な建築を無事完成されるよう期待しています。
さらに先の未来へ
学校長 中村 道郎
校長就任以来、二つのモットーを繰り返しています。一つは、「No vision, the people perish.」です。同じような言葉に,「No dreams, no life」があります。
二つ目のモットーは、「change & challenge」です。わたしたちの人生は絶え間のない「変革と挑戦」の連続です。
「世界的教養人」,「愛と光の使徒」育成という夢に合わせ、進学の激しい競争に打ち勝ち、少しずつ、絶え間なく、次から次へと、いろいろなチャレンジをして、愛光学園の進歩に力を入れてきました。11年前から始まった、この二つのモットーが今回のプロジェクトで、最高に目に見える形として現れると思います。
未来の夢は無限になる
理事長 ホアン・ベルモンテ神父
日本では、完璧なものは丸いです。丸いものは、輪を作って、和を保ちます。和敬、調和、和親、柔和、和楽、平和、和合、融和…日本そのものも、「和」と表現されます。そして、二つの輪をつなげると、8になります。8という形は、永遠、無限のものを表すシンボルです。シンボルと形は、目で見えない精神を表し、作るものです。和と無限の可能性をもたらす夢の新校舎で、次世代の若者を育てたいと思います。新校舎が完成した暁には、その形にあわせて、生徒を育てる環境が変わると同時に、皆さんの雰囲気も変わるでしょう。「輪」でつないで、「和」を重んじて、皆さんと共に、未来に向かっていきたいと思います。その上で、愛光を親しく思っている皆さんが、喜び、今まで以上に誇りに思っていただけるなら嬉しく思いますし、多くの若者が、新愛光学園で勉強したいと希望に燃え、入学していただけたら幸いです。
大山さん、井内さんをはじめ、多くの人のおかげで愛光学園の未来は無限の形になります。改めて、この夢を実現した皆さまに、心から、お礼を申し上げます。竣工式までわずかな期間ですが、楽しみにしていてください!
(C) 2018 AIKO educational institution