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チュータ日誌

チュータのひとりごと 第210回 (中学入学式式辞)

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中学入学式式辞

 愛光学園第56期生の皆さん,本日の入学おめでとう。心よりの喜びと感謝をもって皆さんをお迎えしたいと思います。先ず,心よりの喜びは,皆さんが今日の日を迎えるまでに,多くの努力の積み重ねをし,その努力が見事に実り,今日の日を迎えたことに対するものであります。皆さんの努力に対して,校長より心からの敬意を表します。また,心よりの感謝は新入生の皆さんの努力を,陰で支えてくれた多くの人々,とりわけ,お子様の入学を本校に決定してくださったお父様やお母様,そして,ご家族の人たちに対するものであります。

 今,皆さんの瞳を見ると,希望とやる気に満ちて,キラキラと輝いています。その瞳の輝きを愛光生活6年間,さらにはその後の人生で失わないためには,どのような工夫が必要であるかを述べて,皆さんの新しい出発への門出の言葉としたいと思います。

 大事なことは,自分の目標,つまり夢を持つことです。そして,一旦,その夢を決めたら,そこから夢の実現に向けて,一歩一歩着実に努力を続けることです。「続いてこそ道」とか「継続とは力なり」という言葉がありますが,正しく,こつこつと続けることが何よりも大切なのです。その過程には,崖道のような険しい道もあれば,山道のような苦労をする道もあると思います。もしかすると暗がりの中に入ってしまって道に迷うようなことがあるかも知れません。しかし,それは神様が自分に与えてくださった試練の道であると思い,試練に耐えて努力を続け,さらに進んでいくと,必ず一筋の光明が見えてくるはずです。その光こそ,神様が人間の努力に対してつけてくださる道筋であると,わたしは考えています。

 本校の初代校長田中忠夫先生が先ほど朗読のあった「われらの信条」を起草されたときにも同じことが起こったのではないでしょうか。あの「われらの信条」は雪の降る夜に一晩で書き上げたと言われていますが,一晩で思いついて書いたものでないことは,言うまでもないことです。愛光学園創設の夢を持ち,建学の理念をどのようにしたらよいかと常々考えをめぐらし,いろいろと悩んだことは想像に難くありません。その田中忠夫先生の並々ならぬ努力に対して神様が一筋の光を与えた,その結果,一晩であの「われらの信条」が起草されたのだと思うのです。つまり神様のほうが,「あれだけ努力している人間を放ってはおけない。」と思うところまで,努力を積み重ねることが大切なのです。

 また,昨年度,合格率4.3%の難関を突破し,気象予報士に合格した本校の中3生,高須賀大輔君が図書館の発行する「ビブリオ」で,「好きなものを自分で見つけ,その道を磨いていくことは実に面白く,そして大切なことだと感じました。今後も,知っていくことの楽しさ・面白さを常に持ちながら,最終的な目標である『NASAで世界の気象現象を研究したい。』という夢を実現したいと思います。」と語り,夢を持つことの大切さに触れています。

 それでは,夢の実現に向けて努力を続けることが可能となる,皆さんにとっての原動力は何でしょうか。それは,今,皆さんの周りにいる友人の有形,無形の励ましであり,ここ愛光学園で皆さんを担当する先生方の皆さんに対する熱き思いです。

 ここにいる56期生,一人ひとりが持つ夢は異なるでしょうが,自分の夢の実現に向けて共に頑張る友人がいるということが,何よりの励みとなるのです。友人は皆さんの宝であると思って,仲良く友情の輪を広げていってください。特に新しい友人との出会いによって,友情が芽生え,一生付き合える親友ができることが,本校に入学した大きな意味の一つであると言えるでしょう。そして,友人やサポートしてくださる先生方との交流を通して,夢の実現に向け,頑張ってもらいたいと思います。

 ここで,友情を育むために大切な心構えを皆さんにお話しておきます。

 人と仲良くなるためには,人の話をよく聞いてあげることのできる人間になること,偉そうにしないで謙虚になって,人の話に耳を傾けることが必要です。また,「困ったときの友こそ真の友」ということわざでも分かるように,楽しいことを共に喜び合うばかりでなく,友人の悩みや苦しみを自分の悩みや苦しみとし,受け止めることができる人間に成長して初めて真の友情が生まれると思うのです。

 さて,せっかくの機会でありますので,建学の理念とも言うべき「われらの信条」について触れてみましょう。

 皆さんの中には,「われらの信条」に書かれている文章が抽象的で分かりにくいと思う人もいるのではないでしょうか。中学に入学した皆さんに分かりやすく説明をしてみましょう。

 「われらの信条」の中で大切な言葉は,「世界的教養人」という言葉と,「愛と光の使徒」,つまり,愛と光をもたらす人という言葉だとわたしは考えています。愛光生が学校教育として目指すのは,「世界的教養人」でありますが,宗教的人格,つまり,人間の本質的な究極の目標ということになると,「愛と光の使徒」ということになります。

 それでは教養人という言葉はどのような意味を持っているのでしょうか。教養という言葉を辞書で調べてみると,「文化に関する,広い知識を身につけることによって養われる心の豊かさ・たしなみ。」と定義されています。人間の文化は大きく次の6つの分野に分けることができると考えられています。それは,学問,道徳,芸術,宗教,身体,生活の分野です。これを皆さんが履修する教科に敢えて分けるとすると,学問は国語・社会・数学・理科・英語の5教科で道徳は倫理・宗教,芸術は音楽・美術・書道,宗教は宗教,身体は保健体育,生活は技術家庭・情報・総合ということになるでしょう。もちろんこれらは相互に関連の深いものですが,理解しやすくするために便宜上分けたものです。これらのすべての教科が皆さんを教養人に育成するために本校で組まれている教科です。6つの分野が調和した真の教養人となるためには,どの教科にも真面目に取り組まねばならないことは言うまでもありません。さらに,教養人の上に世界的という言葉がついているのは,6つの分野が調和をしている上に,さらに,「われらの信条」でいうハイレベルな「深い知性と高い徳性」を身につけることが要求されているからだとわたくしは考えています。

 次に,「愛と光の使徒」について,少し説明をしておきましょう。

 愛と光とはキリストの言う「愛と光」であることは言うまでもありません。世界的教養人を目指す人間が,慈愛の心を持ち,世の光となって,他人のために光を与える「よき社会のリーダー」となることが期待されているのです。アインシュタインが述べた「人間は他人のために存在する。」という言葉そのままに生きることのできる人間を育てたいという夢が本校にはあります。

 繰り返しになりますが,皆さんは将来,全員が社会の良きリーダーとなってもらわねばならない人達です。皆さんが深い知性や高い徳性を身につけるのは,それを実現するためです。自信をもって真剣に勉学に取り組み,社会のリーダーに欠かせない素養を身につけてください。56期の皆さんの今後の健闘を心から祈っています。

 ご父母の皆様に一言,ご挨拶を申し上げます。本日の日を迎えるまで,数多くのご苦労がおありだったと思います。ご子息・ご息女達は,皆様方の期待に見事に応えてくれました。あらためまして皆様のご苦労に対し,敬意を表しますとともに,お喜びを申しあげたいと思います。「教育とは卒業後の思い出なり。」という言葉がありますが,この愛光の丘で,親と子と先生の教育の三位一体を実現すべく,ご父母の皆様方のご理解とご協力を心からお願いして,式辞といたします。

 

平成20年4月8日

愛光中学校校長 中村 道郎

 

 

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高校入学式2.JPG

高校入学式3.JPG

高校入学式4.JPG

(写真は高校入学式の様子です)


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