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チュータ日誌

チュータのひとりごと 第215回 (電車通学生)

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先日,市内の一番町で私的な会があり,出席をした。

わたしは,市内に出かけるときには郊外電車をよく使う。その日も最寄りの駅である山西駅から伊予鉄道の郊外電車に乗った。山西駅近辺にもいくつかの学校があり,時間帯が下校時間と重なったために,かなりの数の生徒と一緒に乗車することになった。山西駅を出発して次の駅が西衣山駅である。

 当然のことであるが,西衣山駅では本校の電車通学生が乗車してきた。わたしは電車の最後尾に乗っていたために,同じ車両に数名の中1生が乗車したことに気付いたが,中1生のほうはわたしには気付いていない様子であった。

 電車が松山市駅に到着する直前,その中1生のいるドアのところまで行って,「こんにちは」と声をかけると,びっくりした様子で,「あっ,こんにちは先生!」と元気な挨拶の声が返ってきた。わたしは,松山市駅で市内電車に乗り換えなければならなったので,すぐに「さようなら,またあした。」と声をかけて電車を降りた。すると,今度は,前方の車両から降りてきた数人の生徒たちがわたしの姿を認めて,「あれ,先生どこへ出かけるのですか。」と聞いてきた。そこで,「ちょっと会があって一番町までね。」と応じると,「そうですか,それではまた。さようなら。」と言って改札口を出た。わたしが改札口を出たところで,また,他の本校生たちに出くわし,「あれっ,チュータ先生じゃないですか。どうしたのですか。」と聞かれた。どうもわたしが松山市駅にいるのが生徒にとっては不思議なことらしい。その生徒たちとも簡単な挨拶を交わして,わたしは市電の乗り場に向かった。

 市電の乗り場に向かう途中に信号があって,青になるのを待っていると,一人の中学1年の男子生徒がやってきた。そこで,「君も市電に乗るの?」と聞くと,その中1生の自宅が道後方面ということで,同じ市電に乗ることになった。

 市電に乗車して,座席が空いていたので並んで座ろうとすると,高3の男子生徒も乗車してきた。座席を詰めて,わたしの右に高3生,左に中1生が座ることになった。ひとしきりの挨拶をした後で,高3の男子生徒が英単語集をバッグから出した。すぐに,「わたしは『ターゲット1900』だね。」と聞いたところ,「はい。」と答えが返ってきた。わたしは中1生を教える機会が多いために,しばらく「ターゲット1900」を手に取ったことがなかったので,表紙の色ではすぐには判別できなかった。それで確かめたのである。そして左側に座っている中1生に,「君も5年経つと彼のようになるよ。」と言うと,彼はうなずいていた。うなずくとすぐに,中1生はバッグの中から一冊の文庫本を取り出し,読み始めた。右では高3生が英語の勉強を,左では中1生が読書をしている姿を見て,誇らしく思い,「これぞ,愛光生!」と心の中で叫んでしまった。

 ただ,その時に,わたしは目を通す本などを持っていなかったので,仕方なく手帳を取り出してスケジュールの確認をするしかなかった。やや情けなく思い,次に市内に出かけるときには,生徒と教師が共に揃って読書や勉学ができるように,何か本を持って出かけなければならないという気持ちになった。

西衣山1.JPG
愛光生の多くが利用している「西衣山駅」です。
西衣山2.JPG
伊予鉄の郊外電車です。
西衣山3.JPG

西衣山4.JPG


2013年1月

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