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チュータ日誌

チュータのひとりごと 第238回(教え子の結婚式)

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結婚を心待ちにしていた本校29期の卒業生,N君から,結婚が決まったので,式と披露宴に出席してほしいという連絡があった。結婚式は11月にあり,わたしは式と披露宴に出席した。場所は神戸市内の立派なホテルで,結婚式も披露宴も心温まる素晴らしいものであった。

N君と出会ったのは,彼が中学3年生のときである。それから高校卒業まで4年間,クラス担任となった。38年間の教師生活で約1,500名の生徒の担任をしたが,4年間連続して担任を受け持ったのは,たったの二人しかいない。わたしは,このことを奇跡的なできごとだと考えている。

N君の結婚式には,何を置いても出席すると,彼が卒業した当時から,わたしはいつも口にしていた。それは4年間連続して担任をした生徒であるということのほかに,様々な彼との思い出があったからである。

初めて彼を受け持った中3c組で,わたしは,「一人一言」というノートを用意した。このノートは,生徒が自分の書きたいことを何でも書いてよいノートであった。生徒が書いた文章を終礼時にクラス全員の前で読み上げるのである。この文章を読む係りとして,わたしはN君を指名した。とても活発でユーモアがあり,声も大きかったからである。それ以降,卒業まで,この「一人一言」を読む係りはN君であったと記憶している。

当然,N君の文章もこのノートには残っている。披露宴の祝辞の中で本人の許可をもらって,中3時代の文を読むことにしたのだが,そこに書かれている内容は,その当時から寂しくなりつつあったわたしの頭髪について心配するものであった。

この内容には,N君の心優しい一面がよく現れていると述べると,会場から笑いが起こった。

この披露宴には,愛光の寮生活を共に過ごした6人の友人が招待されていた。3時間の披露宴のほとんどの時間,愛光での思い出話に花が咲いた。特に強く思い出に残っているものは英語の授業であった。第51回の「教務のひとりごと」でも紹介しているが,この29期生は,高3の1年間を通して,英語の成績で全国ナンバーワンになった学年である。わたしは,それほど厳しい指導をしたとは思っていないのだが,彼らは,いつも英語ばかりを勉強していたという印象しかないそうだ。医者をしていて,外国人の診察をする機会がよくあるというT君は,今でも「モデル・センテンス500」の文章が自然と口を衝いて出ると言っていた。

わたしが今の彼らの年齢の頃に,英語に情熱を傾けていた姿を思い浮かべたのか,あの当時の先生のように,我々も現在の仕事に誇りを持って頑張らなければならないと言ってくれた。教師のわたしとしては,涙の出るようなありがたい話である。

 6人は高校時代に,わたしも29期生を担当した時代に戻ってしまい,話はつきることがないまま時間がたってしまった。これこそ,教師をしている者にしか味わえない「教育とは卒業後の思い出なり」ではないか。

新たな思い出作りにチャレンジする活力をわたしはこの6人からもらったような気がして,晴れ晴れとした気持ちで,神戸を後にした。

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今週のクリスマス祝会の様子です。音楽部の演奏。
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生徒会長の挨拶。


2013年1月

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