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チュータ日誌

チュータのひとりごと 第246回(卒業式式辞)

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51期生の卒業式で述べた式辞を紹介しましょう。

(長くなるため,一部省略いたします。)

 

 挨拶文(省略)

 

51期生は,本学園が男女共学化した翌年の,中一生として入学した,男女共学第2期生であります。あれから六年,途中高校で新しき友を迎え,男女共学化した2年目の学年として,学園の期待を担い,藤村学年主任を中心とする高3学年部の指導のもと,立派に育ってくれました。皆さんが積み重ねてきた努力に対して,心より「卒業おめでとう。良く頑張りました。」と申し上げます。この言葉と気持ち以上に付け加えるべきことはないのですが,皆さんの新しい人生の門出を祝う記念の日でありますので,日頃感じることを述べ,皆さんを送る激励の言葉にしたいと思います。

わたしは昨年度の卒業式で,「われわれは,他人のために存在している。先ず,その笑顔や幸せが,自分の幸福につながる人たちのために。そして,次に,その運命が共感という絆で結ばれているすべての見知らぬ人たちのために。」というアインシュタインの言葉を紹介しました。

そして,初代校長田中忠夫先生が雪の降る夜に一晩で書きあげたと言われている本校の建学の理念とも言うべき,あの「われらの信条」にも,同じ意味の言葉が述べられているということも紹介しました。それは「愛と光の使徒たらんこと!これがわれらの信条である。」という「われらの信条」の最後に述べられている言葉です。

この二人の言葉について思いをめぐらしているときに,わたしの頭の中に,アメリカの第35代大統領ジョン・エフ・ケネディーのInaugural Addressつまり大統領就任演説のあの有名な言葉が浮かんできました。それは,And so, my fellow Americans, ask not what your country can do for youask what you can do for your country.「アメリカ市民の諸君,祖国があなたのために何ができるかを問いたもうな,あなたが祖国のために何を行うことができるか問いたまえ。」という言葉です。

また,今年の1月20日に行われたアメリカ合衆国の大統領就任演説で,オバマ大統領はIt is the firefighter's courage to storm a stairway filled with smoke, but also a parent's willingness to nurture a child, that finally decides our fate.「われわれの運命を最後に決めるのは,煙が充満した階段に突入する消防士の勇気であり,また,いとわず子どもを育てる親の気持ちでもあるのです。」とわが身を投げ打つ selflessness つまり,無私の精神について述べています。

このアインシュタイン博士,田中忠夫初代校長,ケネディー大統領,オバマ大統領の4人の言葉には,特に新しい理想が述べられているわけではないのですが,読む者が心をゆさぶられ,感動を覚えるのは,それぞれが真理であり,何としても世の人たちに自分の思いを伝えたいというなみなみならぬ決意のほどが伺えるからではないでしょうか。

それでは,わたしたちがこれらの言葉を受けて何を考えなければならないかということについて触れてみましょう。

四者に共通するメッセージは人間それぞれが,なんのためにこの地球上に生まれてきて,何をなさなければならないかということを考えるヒントを与えてくれているとわたしは考えるのです。

針の先ほどもない小さな点がビッグバンを起こして宇宙が誕生したのは150億年前,地球誕生が約46億年前,そして原核細胞が生まれたのが40億年前,真核細胞誕生が約15億年前と歴史をさかのぼることができます。このように気の遠くなるような歴史の中で人間が誕生するのですが,人間は誕生からこれまで類として,つまり人類としてお互いに助け合いながらこの地球上に存在してきたのではないかとわたくしには思えるのです。

人は一人では生きていけません。もし,この地球上に一人だけ取り残されたとしたらどうなるのかと考えたらすぐに理解できるでしょう。皆さんが毎日口にしているおいしい料理もいやおいしくない料理でさえ手に入らなくなるのです。寮の朝食のパンの量が少ないなどという問題とは全く異なります。パンそのものが手に入らないのですから。

つまり,人間の世の中は助け合わなければやっていけない仕組みになっているのです。人間世界は神様によってそのように創造されているのだと言うことも可能でしょう。

世界的教養人,愛と光の使徒を目指す中で,じゅうぶんに磨かれた知性や徳性を生かして,世のため,人のために尽くしてこそ,初めて,わたしたちが地球上に生まれてきた価値があると言えるのではないでしょうか。

 

中略

 

わたしたちは学問に向かう前に,意識の中にしっかりと植えつけておかなければならないことがあるということです。

それは,全世界の未就学児童数は,1999 年から2005 年にかけて,9,600万人から2,400 万人減少してはいるものの,まだ7,200万人もの児童が学校へ通うことができないでいるという現実です。

そして,全世界の中で何不自由なく勉学に向かうことのできる人間はそんなに多くはなく,自分たち日本人,特に愛光生はこの地球上で非常に恵まれた人間であると認識する必要があると思うのです。だから,自らの恵まれた教育環境に対して感謝の心を持って学問に打ち込み,各自の夢を実現してほしいのです。そうでないと,世界の未就学の児童たちに申し訳ないという気がしてならないのです。

そういう気持ちになったら,今後,皆さんが社会のどのような方面へ進もうとも,人を思いやる人間に近づいていけ,自分が他人に対して何ができるかを考える人間になることができるのです。人の喜ぶ姿を見て共に喜ぶことのできる人間になることができるのです。そのような思いやりと信頼に満ちた人間世界の到来を神様は待ち望まれているのではないかと申し上げて卒業生の皆さんに対する(はなむけ)の言葉といたします。

 

中略

 

愛光学園の卒業生として,深い知性に裏づけされた信念と,清い人生観より生まれる高潔な徳性を兼ね備えた愛と光の使徒として世界に羽ばたいてくれることを期待し,それぞれの道での健闘と幸福を心よりお祈りいたします。


2013年1月

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