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チュータ日誌

チュータのひとりごと 第247回(卒寮式挨拶)

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卒業式に続いて卒寮式の挨拶を紹介いたします。

卒寮式挨拶

51期高3寮生の皆さん,卒寮おめでとうございます。

「同じ釜の飯を食う。」 この言葉を皆さんの前で何度口にしたかわかりませんが,寮生活はこの言葉につきるとわたしは考えています。

わたしも,昔,4年間,文字通り24時間,生徒と一緒に寮生活を送りました。また,寮生と一緒に,豚や羊の飼育,畑の開墾など,現在では到底考えられないような貴重な体験をしました。この経験が今のわたしの教育理念の一つ,「師弟同行」の原点になっていると言っても過言ではありません。

今年,高3寮生の面談をさせてもらおうと思ったのは,もちろん,皆さんを授業で一度も担当しなかったことを残念に思う気持ちがあったからですが,それよりも,もっと大きな寮訪問の原動力は,新採から4年間,生徒とともに過ごした寮生活の体験でした。

夜中に40度近い熱を出している中学生をおぶって病院に運んだり,中1生と一緒に谷間で飼育していた豚のところへ残飯を運んだり,においがあまりにも強烈で,朝食べた食事をもどしながら豚舎の掃除をしたり,人見知りをする羊の面倒をみたり,2部合唱で歌を歌ってから生徒と食事を共にしたことなど,それらの体験が寮へ向かってわたしの足を運ばせているのだと思います。

この寮訪問は退職時まで続けさせてもらいたいと考えています。年賀状に書いた「続いてこそ道」という言葉は,実践して初めて値打ちが出るのです。何事もそうですが,最低,3年間続けば,「続いてこそ道」と呼べるのではないかとわたしは考えています。

さて,皆さんが卒業して,本校に帰ってきたとき,まず高3のクラス担任のところに足を運ぶと思います。そして,次に部活動の指導顧問のところへ足が向かいます。それでは,その次に皆さんはどこへ足を運ぶと思いますか。

すぐに思いつくと思うのですが,皆さんが足を運ぶのは寮です。

 それはなぜでしょうか。

 寮には皆さんの思い出がいっぱい詰まっているからです。

一生付き合える友人ができた,親の有り難みが分かった,寮はきついが,規則正しい生活ができた,集団の中で規律を学び,自立心ができた,家で前よりもしっかりしてきたと言われる,食事の好き嫌いがなくなった,人間関係を築くのがうまくなった,友人と一緒に入浴できる,中1・中2の大部屋で競争心を持って勉強できた

などの数え切れないくらい素晴らしい思い出が詰まっているのです。

また,夕食で出た肉が噛み切れなかったとか,テレビを見ることができない,風呂と食事の時間が短い,害虫が飛ぶ,みそ汁の具がキャベツだけの時があり,豆腐や他のものまで入れてほしい,通学路が短いために変化がなかった,中には米の研ぎ方が悪いのではないかという指摘など,マイナスイメージのできごとも,時が経過すると,素晴らしい思い出になる可能性を秘めています。

「教育とは卒業後の思い出なり」,寮生活が君たちに残した思い出は,一生の思い出として,燦然と輝き続けることでしょう。

少し話しは変わりますが,わたしは,クラス担任をしているときに,スランプに陥ったり,心配事のある生徒を食事に連れ出すことがありました。ラーメン屋,そば屋,時には風呂に連れて行った寮生もいました。その時に,わたしはあえて,その生徒の悩みや心配事を聞く会話はしませんでした。楽しく一緒に食事や温泉の時間を過ごしたのです。すると,その後の生徒の態度は明らかに良い方向に変化をしました。もちろん,それですべての問題が解決したわけではありませんが,問題解決のきっかけ,そして思い出の一つになったことはまぎれもない事実です。

真剣に相手のことを考えていれば,言葉で表現しなくとも,相手に通じるということを,わたしはこれらの体験から学びました。

つまり誠実さが,なるほどという人間を作り上げていくのだと感じたのです。相手から見て,なるほどなあと思える人間になることができれば,語らずとも人の心を動かすことができるのだと思うのです。

この誠実さこそが,今後,皆さんが,社会に出て,他人との関係を構築するときに最も大切なものであります。誠実さというものは,一見,弱いもののように思えますが,世の中において,これほど強くて長く続くものはないということを断言しておきます。

皆さんが,これから,人生経験を積んで,人を指導する立場になったときにも,ぜひ,同僚や部下に対する誠実さを忘れないでください。また,家庭生活においても,同様に誠実な人間であってほしいということを述べておきます。

ご父母への挨拶(省略)

 今年度の「チュータのひとりごと」は今回をもって終了いたします。来年度は4月12日()に開始いたします。


2013年1月

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