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チュータ日誌

チュータのひとりごと 第283回(第52回卒業式式辞(2))

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わたしたちの学園だけではありません。学園に在籍する皆さんにも,人生の大元があります。皆さんは自分が好んでこの世の中に生まれてきたわけではありません。元をたどれば,皆さんの前には父母がいて,その前には祖父母がおり,その前には曽祖父と曾祖母がいるのです。さらにたどれば,壮大な人類創造というドラマがあったはずです。そして,人間誕生以来,脈々たる人類のDNAの流れの中で皆さんは存在しているのです。長い長い人類の歴史の中で,現在この地球上に生かされ,生きている縁を共に享受しているのです。そしてこの縁は様々な形に広がっていきます。親子の縁,学校との縁,友人との縁,担任との縁,夫婦の縁,様々な縁を結びながら,DNAを受け継ぎ,生かされ生きている喜びを様々な形でこの世に残していくのであります。

昔の中国の詩人の言葉に「三分の人事 七分(しちぶ)の天」という言葉がありますが,人間の縁もそのようなものではないかと思われるのです。自分が学問やスポーツに一生懸命に取り組む,つまり学問やスポーツと縁を結び続けていると,天の神様が後押しをしてくれたのではないかと感じる不思議なできごとを経験したことはありませんか。

発光生物のオワンクラゲの研究中に副産物として緑色蛍光たんぱく質(Green Fluorescent Protein GFP)を発見し,2008年にノーベル化学賞を受賞した下村(おさむ)さんが「天はわたしを使って,いまや医学や生物学の研究に欠くことのできない道具であるGFPを人類に与えたのではないかと思うことがある。」と朝日新聞の取材に応えています。さらに下村さんは,「不思議なことがある。あれだけたくさんいたオワンクラゲがわれわれの研究が終わった後,突然消えうせた。それが20年早く起きていれば,GFPの発見もなかった。」と述べています。

わたしはこの記事を目にしたとき,「三分の人事 七分の天」という言葉を思い出しました。これは人間が謙虚であることの大切さに触れた言葉ではありますが,実は,人間生活の現実がそうであるとわたしは思うのです。もしかすると,「一分(いちぶ)の人事 九分(くぶ)の天」と言っても過言ではない場合もあるのではないでしょうか。ただ,大切なのは一分(いちぶ)と言えども,人間の側の努力なのです。

つまり神様のほうが,「あれだけ努力している人間を放ってはおけない。」と思うところまで,努力を積み重ねることが大切なのです。そこに天の光がさすのだということを忘れないでください。天の働きを得られないということは,もしかしたら,何かが不足しているのではないかと考え,謙虚な気持ちになることが必要だと思うのです。謙虚さを失った文明が滅んでしまったように,個々人も謙虚さを失い傲慢になると滅びてしまうことは,歴史上の人物を見ても分かるのではないでしょうか。

謙虚な気持ちになり,私心のない無私の精神で新たなるチャレンジに向かうという姿勢が素晴らしい未来を作り上げていくのだとわたくしは信じています。人生はそのようなチャレンジの連続であり,そのチャレンジを楽しむために人生があるのではないかと申し上げて,卒業生の皆様への餞の言葉といたします。

最後に,高い所から誠に失礼と存じますが,ご父母の皆様方に一言ご挨拶申し上げます。

六年前,あるいは三年前,大きな期待と希望を持って,大事なご子息・ご息女を学園に託して頂きました。特に寮生のご父母におかれましては,入寮時に,「本当に寮に入れてよいのだろうか。もっと手元において世話をすべきではないか。息子を手放して寂しい思いをするのではないか。そのようなことを考え,床についたときに,涙が出てとまらなかった。」といったように,本校に生徒を送っていただくにあたり,大きな決断を迫られたご父母が多かったことと思います。

寮生のご父母のお一人から,「6年間の中で親子共々楽しいこと,辛いことを経験させていただき,すべてが良い思い出となっている今,愛光で大事な6年間を過ごさせるため送り出した決断は間違いではなかったと今更ながら確信しております。」というわたしたちにさらなる勇気を与えてくださるお手紙をいただき感謝しています。

自宅生,寮生を問わず,本校に入学をご決断いただいたすべての皆さまのご希望に添った教育を十分になしえたのかということにつきましては,今となれば反省点も多々ありますが,学年部の教員を中心に精いっぱい努力したつもりであります。卒業生の皆さんには,それぞれの高い目標と夢の実現に向かって,この後も神様から後押しをしてもらえるような努力を続けてほしいと願っています。

本日をもって皆様とお別れすることは寂しい限りでございますが,どうぞご子息・ご息女の卒業後も,末長く学園の将来を見守り,ご指導いただけますよう心よりお願い申し上げます。

 それでは52期,235名の皆さん,お別れです。愛光学園の卒業生として,聖ドミニコの理想,深い知性に裏づけされた信念と,清い人生観より生まれる高潔な徳性を兼ね備えた愛と光の使徒として世界に羽ばたいてくれることを期待し,それぞれの道での健闘と幸福を心よりお祈りいたします。

平成22年3月1日         愛光高等学校 校長 中村 道郎

今回で平成21年度の「チュータのひとりごと」を終了いたします。来年度(平成22年度)は411()に開始の予定です。


2013年1月

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