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チュータ日誌

チュータのひとりごと 第318回(わたしが影響を受けた人物(3))

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 松山に帰るきっかけは,高校で外進生をとるという話が決まり,英語の教員を一人採用することになった。当時,高校時代の恩師,清水襄先生が英語科の教員として本校に勤務されており,先生から松山に帰ってくるようにというお誘いを受けた。当然,この話がなければ,本校に奉職することにはならなかったであろう。その点から言えば,最も恩義を受けている人物は清水襄先生ということになるかもしれない。

教師になった直後,生徒の父親の一人に大きな影響を受けた。当時の学園は,家庭的な雰囲気があり,先生方がときどき生徒の家庭に招待されて食事をご馳走になることがあった。その中に,国内外で活躍している父親がいた。この父親の話から,若いわたしは大いに刺激を受けた。このことがきっかけで,海外に出なければ世の中のことは分からないという考えを持つようになった。そして,当時アラスカに学園の分校があったので,アラスカ行きを志願したが,既婚者であることが条件であったため,あきらめざるを得なかった。

この父親には,もう一つお礼を言わなければならないことがある。それはオランダのフィリップス社のシェーバーである。わたしのひげは「袋ひげ」といって,理容師泣かせのひげである。かみそりで剃ると,ひげの根元が袋状になっているため,この袋が切れ,顔中が血だらけになるのである。この父親がオランダに仕事で出かけ,シェーバーをお土産として買ってきてくださった。どんな切れ味だろうと思って,おそるおそるシェーバーを顔に当ててびっくりした。血が出ないのである。しかも,ひげを剃った後,ひりひりもしない。8年間の苦痛から解放された瞬間であった。わたしはこの時から,ひげ剃りはフィリップスと決めている。先日,この父親がお亡くなりになったという悲報を受け取り,神奈川県にあるご自宅にお伺いし,わたしの人生に大きな影響を与えてくださったことと,8年間のひげ剃りの苦痛から解放してくださったことに対して,仏前でお礼を申し上げた。

一人の人間が,一生のうちに出会う人間はそれほど多くはない。そして,誰と出会うかで人生が大きく変わるということは,ある程度の人生を送った人なら誰でも気付いていることであろう。

誰と出会うか,それはその人の持つ徳分で決まるのではないか。言葉を変えれば,世界的教養人としての深い知性と高い徳性によって決まると言ってよいのではないだろうか。知性と徳性を磨くことによって,出会う人も異なってくるのではないかと申し上げて,今回のひとりごとを締めくくることにする。


2013年1月

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