愛光学園

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チュータ日誌

チュータのひとりごと 第355回(卒業式式辞 1)

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親愛なる54期生の皆さん,皆さんは六年間あるいは三年間の蛍雪の功を積んで今日只今,本学園を巣立とうとしています。まことにおめでとうございます。

 一部省略

 54期生は,本学園が男女共学化5年目の中1生として入学した,男女共学第5期生であります。あれから6年間,あるいは途中,高校で入学した皆さんは3年間,学園の期待を担い,小池学年主任を中心とする高3学年部の指導のもと,立派に育ってくれました。皆さんが積み重ねてきた努力に対して,心より「卒業おめでとう。良く頑張りました。」と申し上げます。

この言葉と気持ち以上に付け加えるべきことはないのですが,皆さんの新しい人生の門出を祝う記念の日でありますので,日頃感じていることを述べ,皆さんを送る激励の言葉にしたいと思います。

在学中に何度も「世界的教養人」と「愛と光の使徒」について触れましたが,高校生活最後の式となるこの機会に,もう一度触れておきましょう。

愛光学園の設立目的は,

「カトリック精神に則り,カトリック聖ドミニコ修道会の教育方針に従って,世界的教養人を育成すること。」であります。

初代校長田中忠夫先生は,世界的教養人を

「社会が中等学校に期待している第1のことは,一流の大学にも入学し得るような深い知性と,世界のどこへ出しても恥ずかしくないような高い徳性を涵養することであると考え,これをわれわれは世界的教養人という標語で要約した。」と述べています。

深い知性の面では6年間,あるいは3年間,皆さんの一人ひとりが主体的に学ぶ姿勢を堅持しつつ,各教科の先生方にしっかりと鍛えてもらいました。

また,高い徳性の面でも,神父様や学級担任,そして教科担当の先生方の教えを受け,さらには,ご父母をはじめとするご家族のよき導きによって磨かれてきたことと思います。

わたくしも,皆さんの中学1年次に,週に1時限ではありましたが,英語2を担当し,パワーポイントと幼児用のキーボードを用いて,リズムで学ぶ英語を中心に学問の基礎の手ほどきをし,皆さんの知性の一端を磨かせていただいたことが,つい昨日のように思い出されます。

徳性を磨くという点でも,始業式や終業式,さらには入学式,卒業式等で様々な話をしてきました。

わたくしは,皆さんやご父母の前で,「世界的教養人」としての深い知性と高い徳性を兼ね備えた「愛と光の使徒」となり,さらに社会のよきリーダーになってほしいと,何度も述べてまいりました。

昨年8月発売の「プレジデント」という雑誌に,JALの再建に取り組んでいる稲盛和夫氏と,7つの習慣の創始者,スティーヴン・コヴィー博士の対談が掲載されており,その中で,稲盛氏は,次のようなことを話しておられます。

「わたしは,リーダーに必要なのは,能力よりも人格だと考えています。リーダーの人格がゆがんでいたり,よこしまなものであれば,どんなに能力が高くとも,もたらされる結果は,間違ったものになります。むしろ,能力が高い分だけマイナスも大きくなるでしょう。」

さらに稲盛氏は,「わたしは,常日頃から人間として何が正しいのか,どうやってその正しいことを貫こうかと,そればかりを考えています。経営における判断も『人間として正しいか,どうか』を基準にしてきました。損得よりも,正しさを重んじてきたつもりです。長い目で見れば,そのほうがビジネスとしても成功すると思います。」とも語っています。損得よりも,正しさを重んじるという考えは,何もビジネスの世界だけに限ったことではありません。社会のあらゆる分野において言えることであります。

また,原則中心のリーダーシップを唱えるコヴィー氏は,原則というものを,誠実さと正直さとし,言行一致が大切であると述べています。さらに,彼は正義,奉仕,忍耐,勇気などを原則の例として挙げ,アメリカ建国200年の歴史の中で,最初の150年に成功した人々は,誠実,謙虚,勇気,勤勉という,言わば人格主義であったと語っています。

本校の校名となっている愛光,愛は徳性を,光は知性を表しているので,愛光学園は徳性・知性学園とも呼ぶことができると申し上げましたが,順番は徳性が先に来て次に知性がきているのです。もちろん,大学入試に限っては,知性が優先されるのでありますが,最終的に人間の値打ちを決めるのは,徳性であることを忘れてはなりません。

昨年,3月11日に起きた東日本大震災後の,世界の人々,特に日本人の対応に,誠実さと正直さを見て取れる場面が数多くあったことが,あの甚大な被害の中で一筋の光明となったことは,まだ記憶に新しいことと思います。

われらの信条の中に,「学問に対する情熱と道義に対する渇望とはわれらの生命である。」と記されていますが,道義とは,「人が人として踏み行うべき道」であります。この「人が人として踏み行うべき道」が,震災後,多くの日本人及び世界の人々によって示されたことを初代校長田中忠夫先生は天国でお喜びなさっていることと確信しております。わたしたち,愛光という絆で結ばれた者すべてが,この田中先生の遺された「道義に対する渇望」という言葉を,今後も大切に持ち続けていこうではありませんか。

 


2013年1月

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