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チュータ日誌

チュータのひとりごと 第366回(授業と信頼関係)

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「授業を終えた後,充実感と爽やかな疲労感が残るかどうか。」これは教員として,大切な課題だと常々考えている。つまり,充実感と爽やかな疲労感が残っているかどうかが,良い授業を展開できたかどうかのバロメーターになるということだ。

わたしは,生徒に向かってよく,「授業は真剣勝負の場である。」と言う。

教師は,1時限の授業を展開するのに,少なくとも授業時間よりも長い時間をかけて準備をする。そして,教室でしゃべる事柄と,自分の頭の中にしまっておく事柄とに分け,教壇に立つ。生徒のほうも,与えられた予習範囲を時間をかけて学習する。場合によっては,標準家庭学習時間を大きく超えて学習することもあるのではないだろうか。

教師と生徒がそれぞれに時間をかけて調べたことを,授業中に発表する。もちろん,教師が主導で授業は進むが,生徒が学習し,理解したことと異なる説明があった場合,当然質問が生徒から出る。この質問に対して明快な説明ができるかどうか。質問が出るのは教師の楽しみでもあるが,ここで教師の力量が問われることになる。鋭い質問が出て,その場で生徒を納得させることができない場合も少なくない。このような場合,その日のうちに,質問に答えることが教師にとっての鉄則である。これを怠ると生徒は教師に対する信頼をなくしてしまう。

生活指導はいうまでもなく,学習指導も生徒との信頼関係の上に成り立っているのである。

25年も前のことになるだろうか。ダブルスクールに通う生徒と同様の力をつけてもらおうと,英語の昼休みチェックを始めた。授業の課題以外の宿題を生徒に与え,自学自習をしてもらった成果を昼休みにチェックするというものであった。廊下に机を出してノートチェックをしているので,いい加減に済ます生徒はほとんどいなかった。

ある冬のこと,寒い廊下でノートチェックをしていると,生徒の一人が,「先生,ご苦労様です。寒いでしょう。お茶をどうぞ。」と言いながら,カップに入ったお茶を提供してくれた。

わたしは,このような関係が生徒と築けると,生徒はいやでも勉強をするようになると思っている。他人の努力に対して報いようとするのは,人間の本性ではないか。

教師がどのように,生徒とかかわったか。その成果が進学実績に大きく反映されることをわれわれ進学校の教師は心に留めておかねばならない。いつも述べるように,まさしく,「余れば返す,足らねば差し引く。」である。やっただけが結果として現れてくるのであり,その意味では奇跡は起こらないのである。

 


2013年1月

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