愛光学園 AMOR ET LUMEN

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チュータのひとりごと

教務のひとりごと(7)

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 塾(寮)生活

 寮の「安食日」や「中1生の居室」,「中2の学習室」の様子などを,ホームページで伝えているうちに,はじめて自分が教員になった頃,中学生と一緒に4年間の塾(寮)生活をしたことを思い出した。今回はそのことについて書いてみたい。

 当時,わたしは幼稚園から大学まである東京の私立中学に勤務していたが,学校の信条の中に塾教育というものがあり,中学,高校,大学がそれぞれの塾を持っていた。この塾は松下村塾の流れを汲むものであった。

 こうして昼間は学校の教師,夜は塾の舎監として,文字通り24時間生徒と共に生活をすることになった。どちらかと言えば,熱血型の自分にとっては,この二重生活ともいうべき厳しい勤務も全く苦痛に思ったことはなかった。

 しかし,ただ一つ,「これは,えらいことになったなあ。」と思ったことがある。それは,1年目の教員は豚舎の係長になるという,とんでもない慣習があったからである。

 豚舎は谷間にあり,そこまで豚に食わす残飯を持って降りていくのが一苦労であった。また夏には特にひどいにおいがするので,これには閉口した。汚れた豚舎の清掃は並大抵なことではなかった。

 豚は賢い動物で,きれい好きな面もあるが,どろんこ遊びが大好きでもある。中1生と豚舎係長のわたしが豚の世話をしていたのだが,豚は中1生が自分よりも小さいと見ると,突進して生徒が運ぶ残飯をよくひっくり返した。中1生に豚を飼育した経験などあろうはずがなく,もちろんわたしも初めての経験で,両者がおっかなびっくり世話をするものだから,豚はわれわれをからかっていたのかもしれない。こうして,いたずら好きで遊び好きの豚に翻弄される毎日であった。

 そして1年間大事に育て,まるまると太った数頭の豚を売った収益で,塾生全員のクリスマスプレゼントを買っていた。

 このクリスマスプレゼントは中3生が選ぶことになっていたが,わたしにもプレゼントがあった。塾で最初にもらったプレゼントが,アタッシュケースであった。それ以来,学校へ授業の道具を持ち運ぶカバンは,アタッシュケースとなった。古いアタッシュケースが壊れて,新しいものを購入するたびに,ともに過ごした塾生と豚のことが不思議に頭に浮かんでくるのである。 

2009年7月

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