チュータ日誌

(2018/09/09)チュータのひとりごと 第566回(2学期始業式講話(平成30年9月5日)放送にて)

 2学期の「チュータのひとりごと」を開始します。

 皆さんおはようございます。
(一部省略)
 さて,今日は「欲望」と「善意」の話をします。
 昨年105歳でお亡くなりになられた聖路加国際病院名誉院長日野原重明氏が「道は必ずどこかに続く」というタイトルの著書の中で,次のように述べています。

――「ああしたい」「こうなりたい」と望む人間の「欲望」は,人間の抱く「夢や目標」とはまったく違います。人が自分の夢や目標を達成したときに生まれる充実感や達成感は「欲望」にはありません。「欲望」が生み出すのは果てしない不満足感,飢餓感ばかりなのです。
 「いまの会社はおもしろくない。いい会社に移れば自分の才能を発揮できるはずだ」「有名になりたい。自分が無名のままなんて世の中が間違っている」「つつましく生きるなんて,まっぴらだ。なんとかして,金持ちになりたい」「みんなに尊敬されたい。愛されたい」といった具合に「欲望」というのは現状の自分に常に満足できないまま,際限なくふくらんでいってしまう。これではいつまでたっても,人は不満や悩みから解放されません。
でも,その「欲望」を自分にではなく,他者に振り向けてみたらどうなるでしょう。
 「あの人の喜ぶ顔が見たい」「誰かのために役立ちたい」
そう思ったときから,「欲望」は善意へと変わり,他者へ奉仕することの喜びへと転換していきます。
他者への善意とは,どんな些細なことだっていい。お年寄りが横断歩道を渡れず困っていたら,手を取って一緒に渡ってあげるのもいいし,道ばたのゴミを拾うのもいい。さりげない親切でも立派なボランティアであり,「ペイ・フォワード」なのです。善意はお礼や見返りを期待してはいけません。大切なのはその行動によって,自分の心が晴れやかになることであり,自分が生きている喜びを実感することなのです。――
(ペイ・フォワードとは,他人から受けた親切を,また別の人物へと新たな親切でつないでいくことを意味する言葉)

 皆さんの「電車の中で席を譲る・教室や廊下に落ちているごみを拾う」等の行為で大切なのは,自分の心が晴れやかになることであり,自分が生きている喜びを実感することであります。
皆さんが毎日行っている清掃が徳性の教育につながることは,これまでにも触れてきましたが,できれば,毎日の清掃が,自分の心が晴れやかになる行為であり,自分が生きている喜びを実感する行動であることをわたくしは切に願っています。
 取り組み次第でそのような気持ちになります。ぜひ,実感してみてください。
 特にトイレ掃除をして,心が晴れやかになる経験をぜひしていただきたいとお伝えしておきます。
 学校生活,そして,寮での生活は基本的に楽しく,充実したものでなければならないことは,いつも申し上げている通りです。
 そのためには,人が嫌がる行為をしないということは当たり前で,中1のCLEや高ⅠEの朝の講話で繰り返しお話したように,どのようにしたら人が喜んでくれるか,また,人の役に立つのかを考えられるような人間に成長していただきたいと繰り返し,申し上げておきます。

 ここで,2学期最大の行事である文化祭について触れておきます。
 6月の中・高合同全体集会で,文化祭実行委員長から今年の文化祭テーマを「Supreme」に決定したと聞きました。
 高Ⅱ以下の皆さんの力を結集して,愛光生らしい,そして,充実感の残る「最高の」文化祭になるよう期待しています。
 充実感は,活動にどのようにかかわったか,その度合いによって決まるものです。
 皆さん一人ひとりの思い出に残るよう,活発な活動を期待しています。
 「教育とは卒業後の思い出なり」です。

 最後に,61期高Ⅲ生の皆さん,夏休みを終えて,いよいよ,受験に向けてまっしぐらに進むことになります。いつも申し上げることですが,学年主任を中心に,生徒と生徒のティームワーク,生徒と先生のティームワーク,さらには先生方のティームワークを組んでいただき,受験は団体競技,心を合わせ,「合格」という「最高」に向かって進んでくださることを願って2学期始業式の挨拶といたします。

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