チュータ日誌

(2020/10/18)チュータのひとりごと 第634回(トイレ掃除)

 トイレ掃除については「チュータのひとりごと」の第5回,第475回,第600回で触れているが,もう一度述べてみたい。
 月刊誌「致知」11月号の特集,「根を養う」の中で,「トイレ掃除が子供たちを変え社会を変える」というタイトルが目に飛び込んできた。
 掲載されている記事はお二人の方の対談形式である。
 これまでにも「チュータのひとりごと」,始業式,そして終業式等で掃除は「徳性の教育」であると述べてきたが,特にトイレ掃除は「徳性の教育」,さらには「感動の教育」とも呼べると思っている。
 ずっと以前の話になるが,あることがきっかけで3名の男子生徒と一緒にトイレ掃除をすることになった。
 最初,怪訝な顔をしてわたしのトイレ掃除の方法を眺めていたが,「よし,一緒にやるぞ」と声をかけると,おそるおそる手袋をした手で小便器の目皿を持ち上げた。パイプの中はかなり汚れている。そこにブラシを突っ込み,ゴシゴシこすると汚れが取れて,陶器の元の白い色が現れる。この元の白色が生徒に感動を与える。「おおー」という声がトイレに響いた。
 その後小便器の内側の見えないところに付いている汚れや外に付いているほこりを落とした。これをすべての小便器で行うと,汚れていたところがピカピカの状態になった。
 このトイレ掃除をやっているうちに,生徒たちのほうから「先生,今日もトイレ掃除をやりましょう。」と言ってくるようになった。長靴をはき,ビニールの手袋をして小便器を磨く,そして,ホースで水を流して終了する。掃除の魔法にかかったように3名の生徒が懸命に取り組んでいたのが印象的であった。
 生徒のイキイキとした姿を見て,わたしも感動を覚えた。トイレ掃除には特別の力があるように思えてならない。
 自分たちが使うところは自分たちで綺麗にする,この当たり前のことを当たり前に行うのが掃除であると常々話しているが,トイレ掃除には人間の何かを変える大きな力があるように思う。「致知」の特集記事を読んでいただくと,その大きな力の理由が分かるのではないかと思う。
 「教育とは感動の思い出なり」,本校在校中にできるだけ多くの感動を伴う思い出を作って,世の中に飛び立ってもらいたい。

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