チュータ日誌

(2013/12/01)チュータのひとりごと(第410回 平成25年度第2学期終業式講話 H25.11.30)

 皆さん,こんにちは。

 期末考査が終わり,ほっと一息ついていることでしょう。

 高Ⅱまでの寮生の皆さんの心はもう故郷(ふるさと)に向かっているのではないでしょうか。

 高3生は高校生活最後の定期テスト,悔いの残らない期末考査であったことと思います。

 最初に,今年も,インフルエンザの季節がやってきました。予防対策をしっかりとしてほしいものです。

 特に手洗い,うがいを励行し,朝の健康観察も忘れないでほしいとお願いをしておきます。また,流行期にはマスクをすることが大切です。

 マスクの着用が予防に大いに役立つということは,皆さんの先輩が実証してくれています。

 専門医も,マスクの着用は風邪の予防に最も効果があると指摘しています。

 

 それでは,2学期を振り返ってみたいと思います。

 2学期には大きな行事として,文化祭がありました。

 今年の文化祭のテーマは,「VIVID」で,文化祭実行委員長が,「今年のテーマは,鮮やかな,真に迫った,生き生きとした様子を表現しています。文化祭は生徒が主役の舞台です。生徒が主体的に動く,生き生きとした姿を感じていただければ幸いです。」と,パンフレットの中で述べています。

 わたしも,「これまでの固定概念をビリッと破り,決めるところはビシッと決めて,vividにNew Stepを踏み出しましょう!」と応じたことを覚えています。

 文化祭実行委員が中心となり,全校生徒の協力のもとに,各パートの独自性を保ちつつ,文化祭全体として,皆さんの「VIVID」な姿を訪れる人たちに示すことができたことを共に喜びたいと思います。特に今年のフィナーレは,これまでの文化祭の中で最も多くの生徒が集まった盛大なもので,まさしく第50回の記念すべき文化祭の締めくくりにふさわしいフィナーレでした。皆さんが共に感動している姿を見て,わたくしも胸が熱くなりました。

 2学期には,そのほかにも,中・高のクラスマッチ,先日の学園関係物故者追悼式,そして,中1は遠足と合唱コンクール,中2も遠足,中3は長崎への研修旅行がありました。中3の長崎研修旅行では天候に恵まれ,尾﨑学年主任のもと,集団として立派な行動ができ,最高の旅ができました。中3生の皆さんは,歴史や平和の尊さを学び,世界的教養人としての資質を深めてくれたことと思っています。

 さて,わたしは常々,中2の学年目標にしてくださっている「Change & Challenge」,つまり,変革と挑戦という言葉を皆さんの前で繰り返して述べています。

 学校も組織として様々な変革と挑戦を行っていますが,校長としてのささやかな挑戦を皆さんに紹介したいと思います。

 11月9日(土)に入試説明会の集大成とも言うべき「学校説明会」を本校を会場にして実施しました。

 在籍している皆さんに続いて,立派な後輩に入学してもらうよう,全国各地で入試説明会を行っていることは生徒の皆さんもよく知っていることと思います。

 わたしの役割は学校の基本方針を話すことで,昨年までは各会場の演壇の内側に立って,パワーポイントを使って話をしていました。

 これを今年の入試説明会では,会場の輪の中に入って行う形に挑戦してきました。学校説明会でも同じ形を取ることにし,体育館の舞台からフロアーにおりて話をさせてもらったのです。

 「愛光学園にどのようなイメージをお持ちですか。」という質問をご父母,そして,児童・生徒に投げかけることから始めました。

 次に「学校を選択するときに何を基準になさいますか。」という問いを投げかけます。「生徒の雰囲気」という答えもあれば,「進学実績」という答えもあります。

 わたしの話は,「進学実績」も大切ですが,私立学校には「建学の精神」があり,この精神も大切に考えていただきたいという流れに導きます。

 つまり,何のために学校を設立し,どのような人間を育てようとしているかという学校の根本理念のことです。

 「建学の精神」の説明の冒頭に,初代理事長ヴィセンテ・ゴンザレス神父様の強い希望,「新時代の日本にふさわしい全人教育を青年たちに与える。」という言葉を紹介し,続いて初代校長田中忠夫先生が起草した「われらの信条」を暗唱します。

 この「われらの信条」は第1期生から第61期生まで,共通の思い出として,在校生及び同窓生の心の奥深くに浸透している信条であることは申すまでもありません。

 続いて,「われらの信条」の中に「世界的教養人」,「愛と光の使徒」という抽象的な言葉があるので,これらがどのような意味を持つのかという説明をします。

 「世界的教養人」は教育的用語,そして,「愛と光の使徒」は宗教哲学の用語だとわたしは理解しています。初代校長田中忠夫先生が好んで使われたのは,「愛と光の使徒」という言葉です。 そして,このような教育の理想を求めながら,現役生の大学入試における数値目標を発表することによって,本校は進学校であることもアピールします。

 最後に,寮生活に触れ,寮生活は「同じ釜の飯を食う」ことで,一生付き合える友人を得ることができることを強調します。

 話の結びに医学部合格力が「週刊ダイヤモンド」で全国5位であることに触れて,わたしの持ち時間,20分を終了しました。

 体育館を前後に行き来しながら質問をし,簡単なコメントをつけるのは,どんな答えが飛び出すか分からないので,緊張すると同時に達成感を味わうことができるのです。

 説明会における「変革と挑戦」,これからも続けていきたいと考えています。

 皆さんも,それぞれの立場で変革と挑戦を続けていただきたい。それが人生をより充実したものにするからです。

 56期高3生の皆さん,センター試験まであと49日です。入試では奇跡は起こりません。やっただけが返ってくるのだということを,忘れないで,この後の一層の努力を続けてもらいたいと思います。現役生は,これから,まだまだ伸びるのです。試験の前日まで伸びるのです。最後の最後まで強いチャレンジの気迫を忘れないでください。

 センター試験に向けて,さらには2次試験に向けて頑張ってください。

 高2以下の皆さん,皆さんもいずれ受験の時期を迎えます。今,どうも調子がよくないと思う皆さんは,何度も繰り返し申し上げますが,本気になって,自分の目標を定め,今までの自分と異なる自分を発見できるほどの努力を続けてください。

 さて,寮訪問で高Ⅱ寮生全員の校長面談を行っていますが,一人ひとり話をしてみると,皆,学習や生活の問題点をはっきりと認識したうえで,やる気をもっています。そのやる気の炎を消さないでいただきたい。面談してから1週間も立てば,すっかり炎が消えて灰になっている人はいませんか?

 そうならないために,一つ皆さんに提案があります。

 担任の先生方が君たちに,大学入試は最後は意志の強さにかかっているとよく言われると思います。つまり意志力が最も大切だという事です。

 スタンフォード大学の心理学者,ケリー・マクゴニガルさんは「スタンフォードの自分を変える教室」という著書の中で,

 意志力の問題は,いずれも二つの自己のせめぎ合いから生じるので,衝動的な自分は何を望んでいるのか,そして,もっと賢い自分は何を望んでいるのかという事を考えてみると良いと述べています。

 皆さんの場合,衝動的な自分が望むのは,漫画を読んだり,ゲームにのめりこんだりすることでしょう。

 そして,もっと賢い自分は学習に打ち込みたいと望んでいるはずです。

 そこで,ケリーさんは衝動的な自分にあだ名をつけてみるとよいと言うのです。

 わたしは,目先の欲求を満たそうとばかりする自分には「堕落屋」とつけたらよいのではないかと皆さんに提案します。

 そうすると,本当に「堕落屋」になりかけた時に,はっと気づいたり,賢いほうの自分を呼び覚ましたりするのに役立つというのです。

 ぜひ,やってみてください。

 そして,入試の合否を決めるのは,意志力であることをしっかりと認識してください。

 この若い時期にこそ勉学に燃えてもらいたいと申し上げて,2学期終業式の挨拶といたします。

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