チュータ日誌

(2013/12/08)チュータのひとりごと(第411回 3学期始業式(放送) 12月4日)

 皆さんおはようございます。3日間,それぞれに充実した休日であったことと思います。3学期の始業式は恒例によって,放送で行います。

 最初に「いじめ」の定義が少し変わったことを報告し,今年の学校目標の「校内外における暴力行為といじめ行為を許さない,見逃さない指導を行う。」ということについて,再度,触れておきます。

 いじめ防止対策推進法が今年の9月末に施行されました。

 この法律において「いじめ」とは、「一定の人的関係にある他の児童生徒等が行う心理的又は物理的な影響を与える行為(インターネットを通じて行われるものを含む。)であって、児童生徒が心身の苦痛を感じているもの」を言います。

 「インターネットを通じて行われるもの」が追加されました。

 皆さんの学校生活,寮生活は,基本的には楽しい充実したものでなければなりません。他人にいやな思いをさせられながら,我慢をしながら送る学校生活や寮生活であっては断じてならないのです。

 いやなことはいやだと,はっきりと相手に伝えてください。それでも相手が同じ行為を繰り返せば,これは明らかないじめ行為です。このような場合は,皆さんがすぐに友人,担任,舎監,保護者に相談をすることです。また,アンケートに記入することです。

 それをチクリと考えて,ぎりぎりまで我慢をしてはいけません。いじめはぎりぎりまで我慢をしないことです。

 遠慮なく相談をすること,これがいじめ行為を許さない,見逃さないための最大の解決策なのです。

 

 

 さて,皆さんも先月11月19日に米国駐日大使に就任したキャロライン・ブーヴィエ・ケネディ(Caroline Bouvier Kennedy大使のことについて聞き及んでいることと思います。キャロライン大使は、第29代の駐日アメリカ合衆国大使で,第35代大統領ジョン・F・ケネディの長女であることはよく知られていることです。

 今日はジョン・F・ケネディ元アメリカ合衆国大統領について,皆さんにお話をしてみましょう。

 ケネディ元大統領は今からちょうど50年前の11月22日にテキサス州ダラスで凶弾に倒れました。

 アメリカ合衆国では今でも高い人気を誇っており,政治の世界にも大きな影響を与えています。

 11月22日付の朝日新聞の記事に,米国民による歴代大統領の評価が掲載されていました。その評価によると,74%が「傑出している」「平均以上」と答え,群を抜いてトップの支持率を得ています。

 なぜ,それほどまでに高い人気を誇っているのか。

 それはケネディ氏が自分のことではなく,国を優先するリーダーだったからだと言われています。

 国を優先するリーダーと言われる最も大きな根拠は,ケネディ氏のinaugural address,つまり就任演説にあるとわたしは思っています。

 就任演説の一部を英語と日本語で紹介しましょう。

 まず最初に英語を,そして日本語訳を紹介しましょう。

 And so, my fellow Americans: ask not what your country can do for you;ask what you can do for your country.「アメリカ市民の諸君,祖国があなたのために何ができるかを問いたもうな,あなたが祖国のために何を行うことができるか問いたまえ。」という言葉であります。

 祖国を優先するこのケネディ大統領の言葉に,聞く者が心をゆさぶられ,感動を覚えるのは,その言葉が真理であり,何としても世の人たちに自分の思いを伝えたいというなみなみならぬ決意のほどが伺えるからではないでしょうか。

 それでは,本校の建学の精神とも言うべき,「われらの信条」の中に,このケネディ大統領の言葉に匹敵する,いや,もっと広い意味を持つ言葉があることに,皆さんは気付いているでしょうか。

 それはわれらの信条の結びの部分です。

 ―― 愛(Amor)と光(Lumen)の使徒たらんこと!

 これが、われらの信条である。――

 初代校長田中忠夫先生が雪の降る夜に一晩で書きあげたと言われているこの「われらの信条」の最後に述べられている「愛と光の使徒たらんこと!これがわれらの信条である。」という部分がケネディ大統領の言葉と同等の意味を持つのではないかとわたしは考えています。

 「愛と光の使徒たらんこと!」,愛と光の使徒たれと言っているのです。しかも,愛と光の使徒であって,ではないのです。

 使徒とは,自分が習得した知性や徳性を自分で完結するのではなく,世の中の他人のために活かすことを求められているのです。

 それでは,わたしたちがこれらの言葉を受けて何を考えなければならないかということについて触れてみましょう。

 二者に共通するメッセージは人間それぞれが,なんのためにこの地球上に生まれてきて,何をなさなければならないかということを考えるヒントを与えてくれているとわたしは考えます。

 人間は誕生からこれまで類として,つまり人類としてお互いに助け合いながらこの地球上に存在してきたのではないかとわたくしには思えるのです。

 つまり,人間の世の中は助け合わなければやっていけない仕組みになっているのです。人間世界は神様によってそのように創造されているのだと言うことも可能でしょう。

 世界的教養人,愛と光の使徒を目指す中で,じゅうぶんに磨かれた知性や徳性を生かして,祖国のため,世のため,人のために尽くしてこそ,初めて,わたしたちが地球上に生まれてきた価値があると言えると思うのです。

 

 最後に高Ⅲ生の皆さん,すべての定期考査は終了しましたが,この後も,さらに実力を伸ばし,十分な態勢で本番のセンター試験,そして2次試験に臨んでくださることを願って,3学期始業式の言葉とします。

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