夏休みも実力テストも終わり、文化祭準備の始まった9月の第1土曜。夏休み中に行われた俳句甲子園で本校俳句部は3位に入賞しましたが、そのときどんな俳句をよみあったのだろう、と気になり始め、俳句部の顧問にお願いして、データを提供していただきました。しみじみ味わってみてください。なかなかすてきです。
俳句甲子園は3校ずつで編成した予選リーグのあと、1位通過の学校が決勝トーナメントを戦うという、あのサッカーワールドカップのやり方である。さて、それでは各試合の俳句を掲載する。なお、試合ではお互いの句に対しての議論も行われ、それへの評価も判定に影響するとのことなので、純粋に句のみの評価ではないようだ。
| 予選リーグ | |||
| 1試合目 | |||
| 愛光 | 就実高等学校(岡山県) | ||
| ○ | 炎天や水吸はれゆく千羽鶴(平田) | 炎天や大地は揺れるように見え | × |
| ○ | 炎天やサグラダファミリアの未完(木原) | 炎天や風は這うよう音は止む | × |
| ○ | 炎天や勝って干される柔道着(野嵜) | 炎天下鞄の中の紙ぬるし | × |
| ⇒3対0で愛光の勝利 | |||
| 2試合目 | |||
| 愛光 | 筑紫丘高等学校(福岡県) | ||
| ○ | 烈風に入りて飛魚の小隊(石丸) | 女達飛魚となり百貨店 | × |
| × | 飛魚さばく最後に翼もぎとって(武井) | 凪いだ青打ち抜く一矢つばめ漁 | ○ |
| ○ | 導火線つけて飛魚発射され(木原) | 友遠し訪ねて走るあごの子や | × |
| ⇒2対1で愛光の勝利 | |||
| ⇒愛光:予選リーグ1位となり決勝トーナメント出場 | |||
| 決勝トーナメント | |||
| 1回戦 | |||
| 愛光 | 土佐高等学校(高知県) | ||
| × | 額に汗俺のカルビを裏返す(石丸) | 汗まみれの青いTシャツ絞る姉 | ○ |
| ○ | 校長訓話千人の汗匂う(野嵜) | モミアゲから汗のレールが垂れている | × |
| × | 汗や人類の神殿建てし一滴(平田) | 汗の粒汗の流れや方丈記 | ○ |
| ○ | カーボンの義足をはずす手には汗(木原) | もやしっ子汗にまみれて発芽せり | × |
| ○ | うつ伏せの背骨うきぼり汗をかく(武井) | 百年後も汗と鳴子が踊る街 | × |
| ⇒3対2で愛光の勝利 | |||
| 2回戦 | |||
| 愛光 | 松山西中等教育学校(愛媛県) | ||
| ○ | 虫喰いの柿ため池に降りる径(野嵜) | 過去未来木守柿を境とす | × |
| ○ | 柿の実を狙う高枝切鋏(武井) | 匂ふ髪一房零し柿をむく | × |
| × | 食べかけの熟柿淫らに手の内に(木原) | 子規の町渋柿に日の暮れ切りぬ | ○ |
| × | 重力に逆らいながら柿熟れる(石丸) | 表札の跡濃き家の柿熟す | ○ |
| ○ | 老医師の指すレントゲン柿二つ(平田) | 国境礎石に憩い柿を食む | × |
| ⇒3対2で愛光の勝利 | |||
| 準決勝 | |||
| 愛光 | 洛南高等学校B | ||
| ○ | お前らが写せと素つ裸で笑ふ(武井) | 梅雨晴れのみな前を向く写真かな | × |
| × | にんまりと写楽の役者鵙の贄(平田) | 十六夜や写真を捨てる手の震え | ○ |
| × | 火事写す今来た人も手を伸ばし(木原) | 写生する時には種のある西瓜 | ○ |
| ○ | 活動写真の家族の正座百日紅(野嵜) | 遠雷やはたと倒れる写真立て | × |
| × | 譜の黒き狂気を写す熱帯夜(石丸) | 箱庭の写真を撮りて完成す | ○ |
| ⇒3対2で洛南の勝利 | |||
なお、大会では個々の俳句の優劣を審査し、個人賞も表彰され、本校は2名が表彰された。 【個人賞:入選】 汗や人類の神殿建てし一滴(平田) 炎天やサグラダファミリアの未完(木原)