平成27年度を迎えました。
「チュータのひとりごと」を再開します。入学式の式辞を二回に分けて掲載します。内容の一部を省略していることをご了承ください。
中学・高校入学式式辞
平成27年4月8日
愛光学園第63期生の皆さん,そして,第60期生の皆さん,本日の入学おめでとう。心よりの喜びと感謝をもって皆さんをお迎えしたいと思います。
中略
学校創設にかかわった愛光学園創立者の聖ドミニコ修道会シルヴェストレ・サンチョ管区長や,ヴィセンテ・ゴンザレス初代理事長,そして,初代校長田中忠夫先生が学校創設に関して,どのような考えを持っていたのかということについて触れてみたいと思います。
初代理事長ヴィセンテ・ゴンザレス神父様は,学校設立の根本的精神について,
―― カトリックの精神に則り,ドミニコ会の精神に従って,道徳的な点に力を入れて,新時代の日本にふさわしい全人教育を青年たちに与えるということ。このことを学校の基本方針にしたい。――
と述べています。
この創設の理念を受けて,初代校長田中忠夫先生が先ほど朗読された「われらの信条」を起草し,本校の1期生から現在まで,同窓生,そして現役生共通の思い出となる「建学の精神」として受け継がれてきているのです。
「われらの信条」を起草した初代校長,田中忠夫先生は,「世界的教養人」のことを,「社会が中等学校に期待している第1のことは,一流の難関大学にも入学し得るような深い知性と,世界のどこに出しても恥ずかしくないような高い徳性を涵養することであると考え,これをわれわれは世界的教養人という標語で要約した。」と述べています。
それでは次に,校名の由来となっている「愛と光の使徒」という言葉について触れてみましょう。
「愛」と「光」と言えば,カトリックの言葉だということにすぐに気づくことでしょう。それぞれに深い意味が込められていることは理解してくださっていることと思います。
中略
したがって,愛光学園は徳性・知性学園と呼ぶこともできるのです。徳性が先に来て知性が続くのです。
これらのことを考え併せると,愛光学園の教育の根本精神は,全人教育をベースにして,一段と高い徳性と一段と深い知性の二本柱を備えた人物を育てあげることであります。
さらに,「愛と光の使徒」,人ではなく使徒とあります。
使徒というのは,磨かれた知性と徳性を自分で完結するのではなく,聖書に「人にしてもらいたいと思うことは何でも,あなたがたも人にしなさい。」とあるように,世の中に広く伝える義務を持つということになるでしょう。さらに付け加えれば,使徒とは,聖カタリナの言う「Charity for Your Neighbors隣人愛」,そして,アインシュタインの言う「We exist for our fellow-men.人間は他人のために存在する。」,つまり,「利他の精神」,「人様に役立ってこそ人生」,さらにわたくしは英語の教員でありますから,「Give and Giveの精神」と言いますが,そのような精神を持った教養人ということです。常に自分の周りの他人の存在を意識し,さらに,他人のためにということを考えることができる人間が使徒であろうと思います。
そして,大事なことは,若いうちに,人生において成し遂げたい大きな「志」を持つことです。そして,一旦,その「志」を決めたら,そこから「志」の実現に向けて,一歩一歩着実に努力を続けることです。まさしく,「続いてこそ道」,「継続とは力なり」なのです。