ある会に参加するために道後へ行ったときの話を紹介したい。
普段は電車で道後に向かうのだが,この日は本校の教員に車で送ってもらったために,かなり早く目的地に到着した。
時間があったので,定時に動き始める「カラクリ時計」を久しぶりに見てみようと思って道後温泉駅前の広場に足を向けた。
広場にはすでに「カラクリ時計」を見ようと,かなりの人が集まっていた。カラクリ時計のテーマはもちろん,小説「坊っちゃん」である。
ここで不思議な光景を目にした。
集合した人たちを前にして,一人の男性が松山や道後の歴史,そして夏目漱石や正岡子規の話等を滔々と述べているのである。
多分,ボランティアの方だと思ったのだが,実にイキイキとして話をしている。何度も繰り返して説明をしていることもあってか,原稿などはどこにも持っていない。
カラクリ時計が終わると松山を歌ったメロディーが流れた。すると,その男性はそのメロディーに合わせて歌い始めた。
心に響く素晴らしい歌声であった。最後に集まっている人たちの間から拍手が起こった。
このようなボランティアの人たちのおかげで,松山の評判が全国に広がっていくのであろう。
聞こえるほど,大きな声ではなかったが「ご苦労様」という言葉をかけてその場を去った。