先日,東温市にある「坊っちゃん劇場」で,「坊っちゃん劇場・子ども舞台芸術体験サポートシステム後援会」の委員の一人として,「鶴姫伝説~瀬戸内のジャンヌ・ダルク~」のミュージカルを鑑賞する機会があった。
パンフレットのあらすじは次のとおりである。(パンフレットの転載許可をいただいています。)
物語は今から約470年前の戦国時代。
主人公の鶴姫は,しまなみ海道の大三島に鎮座する日本総鎮守大山祇神社大宮司・大祝安用の娘としてすくすくと育っていた。が,世は天下争乱の時代。周防(現在の山口県)の大内氏が勢力を広げ瀬戸内海の制覇に乗り出してきた。
大祝氏は代々神職として,伊予を治める河野氏や来島氏に支えられていたが,大三島が侵略されそうになると,一族の代表者を統括者として出陣。鶴姫の次兄安房は,大内軍を撤退させたが,討死したため,17歳の鶴姫が一族を率いて戦場に・・・・。
瀬戸内海の平和を守ることを大山祇神社の守護神の龍神から託された鶴姫だったが,戦いが憎しみを生み,憎しみが憎しみを重ねる世の中に迷い,苦しむ。
「誰かがこの連鎖を断ち切らなければ・・・・」。
鶴姫を心から愛し,命を捧げる若い海将クロタカ。女として鶴姫の気持ちを知り,窮地を救おうとする幼なじみのカモメ。恋と友情と一族の運命が交錯する中,平和を願う鶴姫が取った決断は・・・・!?
劇中,龍神と鶴姫の言葉のやり取りに迫力があり,結末がどのようになるのかとドキドキさせるシーンが印象に残った。
結局,流血を見ずに鶴姫が勝利するというストーリーが組まれているのだが,観客が一様にほっとする瞬間であったと思う。
鶴姫,そして幼なじみのカモメ,鶴姫を愛するクロタカの思いは,観客の年齢に応じて感じることが異なるように思うが,観る者の心を打ち,涙を誘うものであった。
最後の舞台挨拶で,6月14日(日)に県立伊予高校吹奏楽部生演奏特別公演が予定されている旨の発表があった。
ぜひ観劇したいと思ったが,本校の修学旅行引率と重なっているため残念ながら次の機会に譲らなければならない。
興味のある方はぜひお出かけいただきたい。
最後に,「坊っちゃん劇場子ども舞台芸術体験サポートシステム後援会」が第44回「博報賞」を受賞した際に,「『博報賞』受賞に寄せて」のコーナーに寄稿した文章を紹介したい。
平成26年2月 Vol.7 掲載
第44回博報賞の受賞,おめでとうございます。教育界では,「全人教育」すなわち,人間文化の6つの方面,学問,道徳,芸術,宗教,身体,生活の調和が求められています。このうち,芸術の理想は美の追求です。
本校では,昨年,中学生の芸術教育の一環として,「坊っちゃん劇場」のミュージカルを鑑賞しました。
芸術鑑賞では「一流に接する」ことが重要であることは申すまでもありません。松山の近郊に一流の芸術に接する場があることを大変幸せに思います。
愛媛県私立中学高等学校連合会
会長 中村道郎