過去のチュータのひとりごと

(2016/09/04)チュータのひとりごと 第499回(2学期始業式講話(平成28年9月3日))

 2学期最初の「チュータのひとりごと」,始業式講話の一部を紹介します。さて,今日は読書について話をします。

 さて,教育者の森信三氏が読書について,

――人間も,読書をしなくなったら,それは死に瀕した病人が,もはや食欲がなくなったのと同じで,なるほど肉体は生きていても,精神はすでに死んでいる証拠です。ところが人々の多くは,この点が分からないようです。それというのが,人々は欲をもって心と誤り考えているからでしょう。だから,「お前の心はもう死んでいるぞ」と言われても「何,そんなことがあるものか」と一向平気でいるのですが,心が生きているか死んでいるかは,何よりも心の食物としての読書を欲するか否かによって,知ることができるのです。これこそ自分の心の死活をはかる,何よりのバロメーターと言ってよいでしょう。

中略

 何と言っても一番大切なのは,やはり伝記でしょう。少なくとも先ず伝記から出発するというのは,動かぬところと言ってよいでしょう。それというのも,偉人の伝記というものは,一人の偉大な魂が,いかにして自己を磨きあげ,鍛えていったかというその足跡を,もっとも具体的に述べたものですから,抽象的な理論の書物と違って誰にも分かるし,また,何人にもその心の養分となるわけです。――

と述べています。

 読書が大切であることは,小学生の頃から,ずっと言われ続けてきたことと思います。

 特に伝記を読むことが重要であることも,当然,聞いたことがあるでしょう。

 わたしも,小中の時代に,「アルベルト・シュバイツァー」や「野口英世」の伝記を読んで,大いに感銘を受けたことを今でもはっきりと思い出すことができます。

 特に野口英世博士が,幼少の頃,やけどを負った手で,艱難苦労をして研究の道を歩まれた姿に感動し,読書感想文を書いて全生徒の前で発表したことも記憶に残っています。

 また,中学の弁論大会でアルベルト・シュバイツァーの生涯に触れたことも忘れることのできない思い出です。

 伝記を読むと,自分の夢や目標を実現しようという勇気が湧いてきて,さらに実現の自信が出てきます。

 高校生になって改めて実録に近い伝記を読むと,人物の良いところだけではなく,人間臭い面も紹介されていて,さらにその人物の深みが増し,生きるべき道に対して明白な道しるべとなってくれます。

 森氏は,特に伝記を読まねばならない時期が2度あり,第1は12,3歳から17,8歳前後にかけてであり,第2の時期は34,5歳から40歳前後にかけてだと述べています。

 最初の時期は立志(志を立てる)時期であり,第2の時期は発願(ほつがん)(願いを起こす)時期であると指摘しています。

 皆さんは志を立てる重要な時期の真っただ中にいるのだということを意識し,一生の方向を定め,その方向に向かっていかに進むべきかということを考えさせてくれる伝記を積極的に読んでくださるよう期待します。

 

 ここで,2学期最大の行事である文化祭について触れておきます。

 6月の中・高合同全体集会で,文化祭実行委員長から,今年の文化祭テーマを「煌(きらめき)」に決定したと聞きました。

 高Ⅱ以下の皆さんの力を結集して,愛光生らしい,そして,充実感の残る文化祭になるよう期待しています。

 充実感は,活動にどのようにかかわったか,その度合いによって決まるものです。

 皆さん一人ひとりの思い出に残るよう,活発な活動を期待しています。

 「教育とは卒業後の思い出なり」です。

 

 さて,皆さんも気づいているかもしれませんが,17期生同窓生の皆さんが,初代校長田中忠夫先生の胸像の横に「われらの信条」の石碑を寄贈してくださいました。8月14日に除幕式を行い,目録を受けとったことを報告しておきます。

 

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