過去のチュータのひとりごと

(2019/02/10)チュータのひとりごと 第581回(梅原猛氏死去 サムシング・グレート)

サムシング・グレート
先日,新聞で哲学者の梅原猛氏が亡くなられたことを知った。
これまで卒業式や入学式で梅原氏の言葉を引用させてもらっていたので,追悼の意味を込めて,今回の「ひとりごと」を記したい。

以前にPHP研究所発行の「人類を救う哲学」(梅原猛氏・稲盛和夫氏共著)を読んだことを思い出し,再度,目を通していると,梅原氏の「サムシング・グレートが助けてくれる」というタイトルの文章が目に飛び込んできた。
以前に読んだ時には,このタイトルには気付かなかった。
文の一部を紹介してみよう。
――私が「生かされている」と思うようになったのは七十歳を過ぎて二回目の癌になってからで,たいへん遅いのです(笑)。私が癌から二回も生還して生き長らえたとき,口の悪い友人は,「梅原みたいなヤツが,なかなか死ぬものか」といいました。あるいは「梅原は動物的直感が鋭いから」という人もいた。なかには「梅原さんは,神仏の信仰が篤いから」といってくれる人もいた。
私は当初,第二説の「動物的直感が鋭いから」と思っていました。しかし,最近は,むしろ第三説だと思っています。―― と述べている。
梅原氏はここで「サムシング・グレート」なるものを登場させるのである。つまり「サムシング・グレート」のおかげで,現在の自分があると述べている。
上記の引用文のすぐ後で,梅原氏は次のように述べている。
――八十歳になったいまも,世阿弥や親鸞,太陽の哲学といった,新たに研究したいことが向こうから押し寄せてきています。これもやはり,「サムシング・グレート」の導きではないかと思います。「サムシング・グレート」が私にやらせたいのであれば,あと十年は命を保たせてくれると信じています。私心なく,世のため人のためにと生きていれば,必ず「サムシング・グレート」が助けてくれるのです。――
この「人類を救う哲学」の初版が出たのは2009年1月7日である。
ご逝去されたのが2019年1月12日であったと報じられている。
梅原氏は,サムシング・グレートのおかげで,ちょうど十年を生かしてもらったことに気付いていたのではないだろうか。その悟りがあって旅立たれたに違いないとわたしは思っている。
サムシング・グレートは筑波大学名誉教授の村上和雄氏がよく使う言葉で,「人知を超えた偉大なるある何ものか」という意味だと解釈している。

わたしは「人間は生かされ生きている」という表現をよく使う。
人間は神仏や他の人たちによってこの世の中に「生かされている」のではないか。そして,この地球上に命ある限り,change & challengeで自らの運命を築き上げながら「生きている」のではないか。そのように考えて「生かされ生きている」と述べてきた。
できれば,「感動,喜び,イキイキワクワク」で生かされ生きたいものである。

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