過去のチュータのひとりごと

(2020/05/11)チュータのひとりごと 第617回(中1 第1回CLE2 ZOOMによる授業)

 ある人から「生徒たちも,学校の正式決定をきっと待っていると思います。」という便りをいただいた。 
 この文章を読んだとたん,何か胸にこみ上げてくるものを感じた。学校に行きたいと願う生徒たち,そして保護者の顔が浮かんできたからである。
現在,学校では1日も早い再開を目指して全教職員が一丸となって努力している。特にICT機器を用いて授業をする試みに挑戦する教員の姿は,見ていて頼もしい。

 わたしは中学1年生のCLE2を担当しており,先日第1回の授業を25分ほどZOOMで行った。
 聖書朗読や聖歌等は実施できないので,わたしの講話をすることにした。
 中1最初の話のタイトルを何にしようかと迷ったが,まず,「入学式に咲いたたった1輪の桜」で始めることに決めた。
 ある年の桜の木が寒さのせいで花を開かなかったため,4月に入って1週間毎日桜に「咲いてほしい」と声をかけたところ,4月8日の入学式当日にたった1輪だけ花を開いたという話である。(「チュータのひとりごと第359回」)

 わたしは職員会議でよく先生方に,生徒に対する「声かけ」,つまりボイスシャワーを大切にしていただきたいと話している。
 生徒にかけた一言がその生徒の人生に大きな影響を与えることは,教員なら誰しも経験のあることと思う。
 その一例として新中1生に,現在国立大学で法学部の准教授をしている卒業生の話をした。すると講話の後,「今回のお話の他にそのような経験談はありますか」という質問があった。もちろんいくつかはあるが,実はそのような話は表に出てこないのではないかと答えた。
 今回の法学部の准教授の話も,たまたま本校の在校生が彼の勤務する大学を訪問した際に,生徒たちを前にして語ってくれた思い出話である。
 多くは表に出ることなく,教員の耳に届いてくることは少ないとしても,生徒と教員の出会いが運命的なものになるケースはわれわれが意識しているよりもずっと多いことであると感じている。
 桜の木でさえ,ボイスシャワーに応えてくれたのだから,生徒も必ず声掛けに応えてくれるという論理の展開はやや滑稽に思えるかもしれないが,わたしがボイスシャワーのことを先生方に話すときのエピソードとして皆様に紹介しておきたい。
 今週は第2回目の講話の時間を予定している。前回と同様,教員としての経験の中から話をしたい。

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