過去のチュータのひとりごと

(2020/12/06)チュータのひとりごと 第641回(いやでも覚えるチュータの英文法(1))

 高Ⅱ寮生の面談が終わり,中3寮生の面談に入った。
 面談中,志望大学の話をする中で,得意科目と苦手科目を聞くことがある。
 苦手科目に「英語」という答えが返ってくると,ついつい英語科教員の魂が目覚め,英語の何が苦手なのかと聞く。生徒の答えとして挙がるのは,英文法,英単語,英作文,長文読解である。
 英文法と答えた生徒には,以前の「いやでも覚えるチュータの英文法」のことを思い出して,説明をしようという気持ちに火がつく。

 中学生が英文法で最初に躓くのは,経験上,「現在完了形」であると思っている。
 現在完了形は,過去に起こった出来事が現在に何らかの影響を及ぼしているということを,生徒は知っているが,日本語では表現が難しく,苦手意識につながりやすい。現在完了形の状況の把握について,生徒により直感的に理解してもらうために,まず,次のような質問をする。
 「現在完了形は現在形ですか,それとも過去形ですか。どちらかにせよと言われたら君はどちらにしますか?」
 聞かれた生徒は一瞬戸惑いの表情を浮かべる。「現在」あるいは「過去」と答える生徒の割合は半々である。
 過去と答えた生徒には,「yesterday, last week, one month agoというような過去を明示する言葉とは使えないね。」と言うと,なるほど現在形だと納得する。

 次に,わたしは生徒に,次の4つの文章を例示して日本語訳を求める。
 1 完了 I’ve already finished my homework.
 2 結果 I’ve lost my watch.
 3 経験 Have you ever been to Hawaii?
 4 継続 I’ve lived here for 5 years.
   (1と2は完了・結果として一緒に扱われている)
 すると,
 1 わたしはすでに宿題を終えてしまった。
 2 わたしは時計をなくした。
 3 君はハワイへ行ったことがありますか。
 4 わたしはここに5年間住んでいる。
 このように答える生徒が多い。

 30年ほど前に中学生を教えていた時,上記の1~4の訳のように,過去形と現在形の混在で訳すから生徒は混乱するのではないかと気づいた。
 さらに,すべて現在形で訳せることが分かった。
 そこで,過去形の言葉と共に使うことができないというルールを利用して,現在形だと理解して訳すという手法を用いることを思いついたのである。

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