寮生に,「現在完了形は現在形だと言ったよね。だったら,1と2の日本語って過去形になってしまっているよ。」と指摘すると,
1 宿題を終えてしまった。 → 宿題を終えてしまっている
2 時計をなくした。 → 時計をなくしてしまっている
という矢印の後の訳が生徒から出る。
「そうだよ! 現在完了形は現在形だと答えたのだから,現在形で訳せるはずだよね。」と説明をする。
そして,1では,宿題を終えてしまっているから,今は外出ができるんだとか,部活にいけるんだとかという現在の意味が内包されているのだと説明する。
また,2では,時計をなくしてしまっているので,テストの時に困るんだとか,待ち合わせに困っているんだというような,これも現在の意味が内包されているということを伝えた上で,「終えてしまった」「なくした」という訳も問題がないと告げると,ここで生徒は頷くのである。
英単語が覚えられないという生徒には語源で覚える方法を紹介する。
例えば,cand は「白」という意味になる。candleは「白」で現在のようにカラフルではなかった。
candid という形容詞は「率直な」という意味で「心が真っ白」という意味につながる。さらに,candidateは「立候補者」という意味であるが,立候補する人が「白い衣服」をまとって演説したからだと説明する。
このように語源で英単語を覚えると忘れることが少ない。
次に英作文と答えた生徒には,時制を間違うことが多いから,日本語の時制を決める部分に下線を施してから,動詞の時制を確認しながら作文をするとよいと伝える。英作文はいかにして減点を少なくするかが大切だからである。
長文読解と答えた生徒には,英文をできるだけ読み下していく速読法をアドバイスし,実際の英文を用いてチャレンジしてもらう。
面談が終わった時に,生徒が明るい顔で「ありがとうございました」と言って部屋を出る姿を見ると,次へのやる気がまた湧き上がってくる。
結局,教員は生徒からやる気をもらっているのだという思いを強くする。
わたくしの面談も,生徒のためもあるが,巡り巡って自分のためとも言える。
教育の三位一体を「親と子と先生」といつも述べているが,それぞれが,様々な形で助け合うところに教育が成り立つのではないだろうか。