挨拶省略
64期生は、高校生として最も重要な高Ⅱ、高Ⅲの時期をコロナ禍が直撃しました。
特に新型コロナウイルス感染回避のため、高Ⅱの修学旅行を中止せざるを得なかったこと、さらに、高Ⅲの体育大会を完全な形で実施できなかったことを申し訳なく思っています。
ただ、高Ⅲの2学期から新しい校舎で学習する機会を得たことは高校生活の素晴らしい思い出として残ることと思います。
本日は新しい人生の門出を祝う記念の日でありますので、日頃感じていることを述べ、皆さんを送る激励の言葉にしたいと思います。
月刊誌「致知」の特集に次の記事が掲載されていました。
―― 心臓の二つの弁が同時に開いたり閉じたりする様子を超音波エコーの映像で見る機会があった。
その真剣な働きに圧倒された。二つの弁はまるで申し合わせたように、一分(いちぶ)の狂いも休みもなく、ひたすら呼吸を合わせて自らの務めを果たしている。必死である。心臓は一日二十四時間、一年三百六十五日、一刻も休まず、必死、懸命の営みを繰り返しているのだ。
もし人間が同じことをやれと言われたら、数分もしないうちに音を上げてしまうだろう。こんなことは人間にはできない。神業である。人間の命は我々の与(あずか)り知らないところで繰り返されている神業によって支えられている。これを忘れたら忘恩の徒になると思った。
哲学者森信三師の言葉を思い出す。
「生(せい)の刻々の瞬間から死の一瞬にいたるまで、われらの心臓と呼吸は瞬時といえども留(とど)まらない。
これはありがたいという程度の言葉で尽せることではない。もったいないといっても忝(かたじけな)いといってもまだ足りない」――
と記されています。
昨年亡くなられた筑波大学名誉教授の村上和雄氏がこの人体の働きをサムシング・グレイトの働きと述べたことはよく知られています。
138億年前の宇宙の誕生も、46億年前の地球の誕生も、生命誕生の神秘も、サムシング・グレイトの意志、言い換えると「宇宙の意志」とも呼べるのではないかと思うことがあります。