平成23年10月23日の「チュータのひとりごと」で、小型船舶操縦免許の更新について書いたが、この5月に7回目の更新講習を受講した。車の免許と異なり、5年ごとに更新することになっている。この5年間一度も船を操舵する機会がなかったので、今回は免許を返納することも考えた。
しかし、もしかすると、故郷の興居島(ごごしま)の海で、船外機付きの伝馬船を操舵する機会があるかもしれないと思い、更新することにした。
5年もすると法律は当然厳しくなっている。講師は講習の中で、何度も救命胴衣の着用義務について触れた。伝馬船には、乗船者全員の救命胴衣を備えなければならないことはよく知っていたが、現在は救命胴衣を身に付けていなければならないと、繰り返し話があった。
これは当然のことで、乗船者が海に転落したら、人が飛び込んで助けるのは非常に困難である。
浮き輪を投げて引き寄せる等の方法があるが、そのような救助策を待っている間、海面に浮いている必要がある。救命胴衣が命を守るために、いかに大切なものであるかを海に落ちた経験のある人は十分に承知している。
講習中にDVDで転落事故を再現し、実際に海に落ちた人がどのようにして助かったかを詳しく述べていた。
救命胴衣にも種類がいくつかあることを学んだ。どのような場面で、どのような救命胴衣を着用するかという話もあった。
船を操舵していると海上で迷子になることがある。それは、陸から見る海の景色と、海から見る陸の景色が全く異なるからである。故郷の興居島の沖合でさえ、自分の位置が分からなくなる。
海の上は陸とは大きく異なる。2重、3重の安全策を講じても、それでも、安全とは言い切れないところに海の怖さがある。
わたしは18年間、興居島の海で育った。海に対する愛着は島で育った者でないと分からないところがある。
海の怖さを十分に認識したうえで、もう一度、忽那七島(くつなしちとう)の穏やかな海に船外機付伝馬船を走らせてみたい。