過去のチュータのひとりごと

(2023/04/09)チュータのひとりごと 第727回(中学・高校入学式式辞)

 令和5年度の「チュータのひとりごと」を開始します。

 4月8日(土)に中学・高校入学式を挙行した。式辞の一部を紹介したい。
 
 式辞
 
 愛光学園第71期、中学1年生の皆さん、第68期高校Ⅰ年生の皆さん、入学おめでとう。心よりの喜びと感謝をもって皆さんをお迎えしたいと思います。
 
 一部省略
 
 本校の創立については、創立の2年前、昭和26年、1951年の5月12日にスペインのアヴィラ修道院で会議が開かれ、台湾の道明(タオミン)高級中学と香港のロザリーヒル・ハイスクールと合わせて設立の計画が話し合われました。
 本校の創立者である聖ドミニコ修道会元管区長、シルヴェストレ・サンチョ神父様は、学校設立の根本的精神について、「愛光学園は聖ドミニコ修道会の精神に基づいた方針に従って、人間の知的及び道徳的教育の高いスタンダードとして、発展していくことができるように」と述べています。
 また、初代理事長ヴィセンテ・ゴンザレス神父様は、「ドミニコ会の精神に従って、道徳的な点に力を入れて、新時代の日本にふさわしい全人教育を青年たちに与えるということ。このことを学校の基本方針にしたい。」と述べています。
 この創設の理念を受けて、初代校長田中忠夫先生が先ほど朗読された「われらの信条」を起草し、本校の1期生から現在まで、同窓生、そして現役生共通の思い出となる「建学の精神」として受け継がれてきているのです。
 それでは、ヴィセンテ・ゴンザレス神父様が日本の若者に「全人教育」を与えたいと述べられた、「全人教育」とはどのような教育なのでしょうか。
 全人教育論は、教育学者、小原國芳先生によって、大正10年8月8日の講演会で提唱された教育論です。
 「全人教育論」の冒頭に、「教育の内容は人間文化の全部を盛らねばなりませぬ。全人教育とは完全人格即ち調和ある人格の意味です。」と記されています。
 文化(Culture)は「畑を耕す」という意味から生まれた言葉です。われわれは心を耕し、清らかで徳分のある人間になることが人間修養であり、かかる人が教養人であり、文化人だと思うのです。
 それでは、全人教育について少し詳しくお話をしてみましょう。
 人間文化には「学問、道徳、芸術、宗教、身体、生活」の6つの分野があり、それぞれの理想を、漢字ひと文字で、「真、善、美、聖、健、富」としています。
 学問の理想は真理の探究であり、道徳の理想は善なること、芸術の理想は美しい、つまり美であり、宗教の理想は聖なること、身体の理想は健康であり、そして、生活の理想は富(とみ)という漢字を用いて、豊かであることです。教育の理想はこの6つの価値を創造すること、つまり全人教育でなければならないという教育論です。
 皆さんが本校で履修する科目を敢えて分けるとすれば、「真」は国、社、数、理、英、「善」と「聖」はCLE(クリスチャン・ライフ・エデュケーション)、「美」は音楽、美術、書道、「健」は保健体育、そして、「富(ふ)」は技術、家庭、情報ということになるでしょうか。皆さんが本校で履修するすべての科目は、皆さんの全人格的陶冶を図るために大切な授業であることをしっかりと認識して、学校生活に臨んでください。
 入試説明会やCLE(クリスチャン・ライフ・エデュケーション)で触れているように、この全人教育をベースにして、さらに、徳性と知性の2本柱を立て、国際社会のよきリーダーとなる「世界的教養人」、そして、「愛と光の使徒」を育成するのが愛光学園の使命であります。
 そして、先ほど朗読された「われらの信条」に、「学問に対する情熱と道義に対する渇望とはわれらの生命である」と示されているとおり、皆さんが入学した本校は、学問と道義、言葉を変えると、「勉学」と「人が人として踏み行うべき道」を「命」とする学校だということをしっかりと心に収めてください。

 保護者への挨拶省略

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