過去のチュータのひとりごと

(2023/05/07)チュータのひとりごと 第730回(放送と地区別懇談会)

 わたしが最初に赴任した学校は、東京の町田市にある玉川学園中学部であった。わたしはこの学園で、中学部4年間、高等部4年間の計8年間を教員として過ごした。中学部の4年間は、英語科の教員と「青雲塾」の舎監を務めたという話を以前に紹介した記憶がある。
 玉川学園は幼稚園から大学院まで一つの広大なキャンパス内にあり、学園の中を小田急線が通り抜けている。土地の広さで言うと、本校の6倍の面積があると聞いている。中学部と高等部は建物も教職員も別で、独立していた。
 この玉川学園の卒業生が町田で「食事会」を開くということで招待を受けた。
 会って、まず驚いたことは、年齢が65歳であることだった。教え子とはずいぶん年齢差があるといつも思っているので、このような感覚に陥ってしまうのであろう。
 集まったメンバーの多くは高等部で放送部に所属していた。
 わたしは中学部から高等部に移った時に放送部を担当することになり、部員に3年間かけて、「NHK杯全国高校放送コンテスト」の全国大会に出場できるように頑張ろうと述べた記憶がある。このことは集まった部員の記憶に残っていて、2年目に全国大会に出場できたこともよく覚えていた。
 当時の高校放送コンテストは、「アナウンス部門」「朗読部門」「番組制作部門」の三つの部門があり、2年目の東京大会で複数の部門において入賞し、全国大会に出場した。当時の話になると、見事に記憶がよみがえる。当時の生徒の名前もフルネームで頭に浮かぶ。
 玉川を去って、本校に赴任する際に、一番気がかりだったのは放送部のことであった。
 本校に赴任して放送部を担当しようと考えていたが、放送は委員会で部活動ではないことが分かり、顧問を引き受けることができなかった。アナウンサーを目指したいという生徒の個人指導をしたことはあるが、放送の面では大した活動はしていない。
 放送に興味をもっていたこともあって、どこに出かけても、声がどのように響くかということを人一倍気にかけている。例えば、入試説明会で会場に入った際に、まず、マイクの音量テストをする。マイクが複数ある場合は、すべてのマイクのチェックをする。
 スピーカーによっても声の響きが全く異なる。天井埋め込み式のスピーカーは音質がよくないケースが多い。また、スピーカーの下置きもよくない。聴衆の耳の高さより高いところにある方が望ましい。声が人に邪魔されずによく通るからである。
 声の響きが最も良かった場所は、旧体育館であった。話をしていて、自分の声がクリアーな音で耳に響いてくるので、講話をするのが楽しくなったことを記憶している。体育館には6つの大きなスピーカーが設置されていたので、あのように素晴らしい音で聞こえたのだと思う。新体育館は前面に二つの大きなスピーカーはあるが、あとはすべて天井埋込式である。音としては、別に何の問題もないのだが、やはり、迫力に欠け、声の響きに物足りなさを感じる。
 今年度から地区別懇談会を対面でおこなう形式に戻すことになった。やはり、スピーチは対面でないとうまく伝わらない。
 スピーチをする者にとっては、聞いてくださっている聴衆の表情が大切なのである。表情を見ると、自分の話がどのように伝わっているかが、ある程度分かる。会場で眠っている人が目に入ると、自分の話に人を惹きつける力が足りないことを痛感し、反省する。
 今年の懇談会、準備をしっかりとして、聞いてよかったと言ってもらえる話を自分の最高の声でできるよう心を尽くしたい。

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