10月17日(火)に中学全体集会をおこなった。
最初に表彰伝達をおこない、ソフトボール部、テニス部、陸上部、弓道部、科学の甲子園ジュニアの表彰をした。
表彰伝達を終えて、校長講話をおこなったので、紹介したい。
今日の全体集会、人から受けた恩について述べてみたいと思います。
今年の2月28日に挙行した創立70周年記念式典で講演をしてくださった、ローマ教皇庁枢機卿、カトリック大阪・高松大司教区前田万葉大司教の対談記事が月刊誌「致知」に掲載されていました。
記事を要約すると、
—— 五島列島の一つ、久賀島(ひさかじま)で神父をしていた時に、船で夜釣りに出かけていてエンジンが止まり沖へ沖へと漂流し、死を覚悟した。
そこで、神様にすべてをお任せし、船の上で大の字になって寝ていた。
目を覚ましてみると、隣の奈留島(なるしま)が見え、碇をおろしたところ、やっと船を係留することができた。
「ああ、神様は本当に一緒にいてくださったんだ」と感謝の気持ちが込み上げてきた。
さらに、前田神父様が行方不明になったということで、信徒の皆さんが8隻の漁船で捜索してくれたことに大きな恩を感じ、決して忘れてはならないことと強く心に誓った。—— と記されています。
そこで、生徒の皆さんにも、感謝とか恩とかということについて、思いを巡らせてもらいたいと思います。
まず、身近なところでは、大変な苦労をして皆さんを育ててくださった保護者への恩、幼稚園、小学校時代にお世話になった先生、あるいは塾の先生、そして友人たちと様々な形で恩恵を受けています。
今後も、友人や先輩、同僚から様々な形で恩恵にあずかることがありますが、人様から受けた恩を決して忘れてはいけません。そして、次には自分が人様のお役に立てることを積極的にやっていくことです。それが、ご恩返しということになり、さらには、「人様に役立ってこそ人生」となるのです。
わたくし自身のことについて述べてみたいと思います。
わたしは22歳の時に東京の町田市にある玉川学園中学部で教職につき、寮舎監と英語の教員の二つの役割を担当しました。その後4年間、文字通り24時間生徒と生活を共にしたのです。
玉川学園で8年目を迎えている時に、本校に非常勤講師として勤務されていた私の高校時代の恩師から、愛光学園が英語の教員を必要としているので、愛媛に帰ってこないかと声をかけていただきました。
これがきっかけで現在の私があるのです。わたしが決して忘れてならない御恩はこれです。
そして、初代校長田中忠夫先生がわざわざ小田急線の玉川学園前駅までお越しくださり、お話できたことを今でも鮮明に記憶しています。この時の御恩を決して忘れてはいけないことと心に留めています。
余談ですが、愛光学園に奉職して初めて初代校長田中忠夫先生と面談をしたときに、「中村先生、生徒の前ではネクタイをしてくださいね」と声をかけていただきました。わたしが、クールビズの時代にネクタイを外さないのはそのような思い出があるからだとお伝えして、話を終わります。