過去のチュータのひとりごと

(2023/12/03)チュータのひとりごと 第748回(ICT機器の変化)

 現在、ChatGPTを始めとする生成AIが様々な分野で話題に上っている。教育の分野もその例外ではない。
 教師の働き方改革や生徒の学習にも大きな影響を与えるものであると、常々話しており、本校でも研究を推進するようにICT推進室にお願いしている。
 教育の世界でICT機器がどのように変化してきたかに触れてみたい。
 わたしが東京の町田市にある玉川学園中学部で教職に就いた頃は、LL(Language Laboratory)のフルラボと簡易ラボ、OHP(オーバーヘッドプロジェクター)、さらには、アナライザーと呼ばれていた機器があった。50年以上も前のことである。
 わたしは英語の授業で簡易ラボとOHPを使用していた。
 簡易ラボは机にジャックがついており、ヘッドフォンのプラグを差し込んで英語の音声を聞く形式であった。
 生徒はヘッドフォンをして英語のリスニングをし、その後ヘッドフォンを首にかけることになっていた。そして、授業で指名されるとヘッドフォンを元に戻すことにしていたのである。これで、どの生徒が指名されていないかがすぐにわかり、授業中に全員のヘッドフォンが首から外れるまで指名をすることができた。
 次にOHPである。
 これは実に便利なICT機器で、トラペンシート(Transparent Sheet)に英語や日本語を書いて、原稿となるシートに次々に解説を重ねていって生徒に見せることができるために、生徒が理解しやすい点が特徴であった。
 わたしは愛光学園に奉職したときに、このOHPを使って授業をすることを続けることにした。
 ところが、驚いたことに各教室にスクリーンが設置されていなかった。
 そこで、管理職にお願いして、自分が担当する学年の教室にスクリーンを設置してもらった。天井をはがして設置するので、それなりに費用がかかったように思う。
 そして、OHPの機器はキャスター付きの収納庫に入れて各教室を移動した。この収納庫のことを「チュータ号」と呼んでいた。
 このやり方を何十年も続けたため、旧校舎の全教室にスクリーンが設置された。これは、わたしが全学年の英語を担当したことの証である。
 いつ頃だったであろうか。パワーポイントが出現した。
 これはわたしにとって画期的なことであった。トラペンシートを使用しないですむことになったからである。
 トラペンシートにはカビが生えるし、何枚も重ねて張り合わさなければならない。この不便さに頭を痛めていたので、パワーポイントの出現を大いに喜んだものである。
 パワーポイントを使って授業を進めるうえで、長所と短所があることを忘れてはならない。
 非常にリズミカルに授業を進めることができるが、進めるスピードがあまりにも速くなり、生徒の理解が追いついてこないことがある。
 この点さえ理解していれば、パワーポイントが生徒の学力アップに多大の貢献をすることは間違いない。
 現在では中学生がタブレットを、高校生がクロームブックを所持し、「ロイロノート」等を授業に利用している。
 今や、端末は「マストアイテム」となっているが、どのように工夫して学力アップにつなげていくか、今後の研究が必要である。

 話は変わるが、わたしがICT機器の使用で反省していることがあるので付記したい。
 現在はパソコンが当たり前になっているが、パソコン導入前に電子タイプライターやワープロが主流だった時代がある。
 英語科の教員として、ワープロで十分ではないかと思い違いしたことが、パソコンへの自らの切り替えが遅れた原因となった。
 新しい機器が登場した時には、その機器で何ができるかを考える必要があることを痛切に感じたことを記しておきたい。
 何事も「Change & Challenge」を大切にしたいと述べて今回の「ひとりごと」を終えたい。

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