文化祭当日の午後6時から市内のホテルで29期生の同窓会があった。
2015年(平成27年)、第382回と383回の「チュータのひとりごと」で29期生の同窓会について触れている。
今回も100名を超える参加があり、松山在住の世話人の苦労は大変だったことが容易に想像できる。
わたしはこの日、文化祭のフィナーレを終えて直接ホテルに出向いた。
わたしが高Ⅲの担任をしたクラスはD組で、テーブルもD組に所属したメンバーであった。テーブルに着くと、メンバーの一人が「全体の乾杯の前に、このテーブルで先に乾杯しましょう」と言ってビールをグラスに注いでくれた。懐かしい卒業生と共に、「乾杯!」と普段アルコールを口にしないことを忘れて飲んでしまった。同窓生と懐かしく懇談する気持ちの高ぶりがアルコールを口にさせたと言った方が正しいかもしれない。一口飲んだ後、しばらくして学校の駐車場に車を置いていることを思い出した。しまったと思ったが「時すでに遅し」である。
さて、同窓会は卒業時の5担任のうち4名が参加し、冒頭に当時の学年主任から近況報告があった。
会話は弾み、瞬く間に時間が経過し、当時の担任と招待されていた教員の近況報告があった。
わたしはその席で、本校の入試説明会で話す内容を紹介した。「われらの信条」とその解説、そして「愛と光の使徒」についての説明である。29期生を入試説明会の参加者ということで話をした。最後に校歌を歌って感動の同窓会が終わった。
さて、ここで学校の駐車場に置いている車をどうするかを考えた。アルコールを口にしているので、もちろん運転するわけにはいかない。代行も考えたが手続きが面倒である。
そこで、駐車場に車を一晩停めておいて、自宅に帰ることにした。翌日電車で通勤しようと考えたからである。
翌朝、いつもより早い時間に家を出て電車で学校へ向かった。久しぶりに西衣山から学校へ向かう坂道を歩いたが、あの坂道は勾配があり、暑いこともあってかなりの汗が出た。生徒は毎日この坂道を上っているのだが、学習道具を携行しての徒歩はなかなかの運動量であると思った。
この日は文化祭片付けの日で、29期生の中で10名の学校訪問があり、在校当時の話で盛り上がった。その後、校舎見学で校舎内を一回りした。新校舎とオリジナルの椅子や机に感心しながら、一番の驚きは女子生徒が校内にいることであったようだ。
生徒たちがすれ違うたびに挨拶をしてくれるので、彼らも元気よく挨拶を返していた。
中学1年生の教室の廊下を通過しながら、43年前の自分たちの姿を思い浮かべていたのであろうか。挨拶を交わす姿に前日の同窓会の時とは異なる雰囲気を感じた。
「教育とは卒業後の思い出なり」、思い出となって心に残る出来事はそれぞれ異なるが、在校生の思い出作りに生徒と教職員が一体となって取り組まなければならないという思いを強くした。