4月の中旬に用があって生まれ故郷の興居島に向かった。
伊予鉄道の高浜駅から徒歩1分のところにある高浜港からフェリーが出ており、15分の乗船で島に接岸する。
フェリー乗り場の高浜港には駐車場があり、そこに車を置いて乗船することが多い。
高浜港に到着して海を見た時に驚いた。海面が布を一面に張り巡らせたようになめらかでゆったりとした動きをしているように見えたからである。
生まれてから18年間を島で過ごし、海を見飽きるほど見てきたにもかかわらず、この日の海面のゆったりとした動きに思わず見とれた。まさしく春の海である。フェリーは小型の船でよく揺れるが、この日は水面を滑っているかのように静かに進んだ。
島には「小富士山(こふじさん)」という呼称の海抜300メートル足らずの山がある。何年か前、雨が連続したときに、頂上から中腹まで山崩れを起こし、その爪痕が今でもはっきりと見てとれる。幸い人命にかかわることはなかったと聞くが、山肌が崩れやすくなっているのではないかと心配である。
過日、興居島で同窓生が集まり、クラフトビールを醸造している人たちを応援しようという計画が持ち上がった。都会から興居島に移住し、新しい仕事にチャレンジしているとのことであった。
わたしはアルコール飲料をできるだけ飲まないことにしている。特にビールを飲むことはないので参加を迷ったが、島のチャレンジャーたちに応援することは可能だと思い、参加することにした。
興居島中学時代の同窓生が古民家を改造した宴会場に20名程集まり、にぎやかな集いになった。不思議なことであるが、同窓生が集まると中学時代の自分にもどってしまう。名前を呼び合う時も「ちゃん」付けである。
今回の同窓会が興居島の新しい住人にどの程度の「励み」になったかは分からないが、今後もできる限り島のサポートをさせてもらい、自分を育ててもらった興居島に恩返しをしていきたい。