天候は日が射す時間帯もあったが、ほとんど曇りであった。これも実にありがたい天の配慮だと感じた。熱中症の心配が軽減されたからである。
体育大会実行委員と体育科の教員の連携が見事で、プラグラムが順調に進み、午前中の競技は20分ほど早く終了したが、午後の開始は予定通り12時30分からであった。
昼食後は、高Ⅲアトラクションから始まる。高Ⅲの各クラスがそれぞれ工夫したダンスを披露する。
このアトラクションのために、4月の1学期開始時期から練習を積み重ねている。高Ⅲ生がグラウンドいっぱいにそれぞれの衣装をつけ、広がってダンスする姿は実に見事である。担任や副担任も参加しているクラスもあった。「参加者全員が燃えている」とはこのような姿のことを言うのだと思う。
午後のプログラムも順調に進み最後は最高に盛り上がる「クラス対抗リレー」である。
実はこれまであまり触れたことがないのだが、どの種目にも放送委員の実況が入る。この実況が種目をより盛り立てていることを忘れてはならない。クラス対抗リレーの最終は高Ⅲ生のリレーである。アンカーが次々にゴールに飛び込んできた時に、「生徒と生徒のティームワークが見事です」というアナウンスが流れてきて、一瞬生徒たちの間に笑いが起こった。
わたしはこのアナウンスを聞いて、実に的確な表現をしたと思って感心した。そして、閉会の挨拶にこれを使おうと考えた。
実は終業式等で特に高Ⅲ生を励ますときに、次のようなことを述べている。
—— 高Ⅲ生の皆さんは、生徒と生徒のティームワーク、生徒と先生のティームワーク、さらには先生方のティームワークを組んで、受験は団体競技、心を合わせて、「合格」という二文字に向かって突き進んできた学年です。 ——
この言葉を放送委員が語ってくれたのである。
この言葉が生徒たちの記憶に残っているもう一つの理由がある。それは、私はティームと発音し、チームと発音しないからである。日本語ではチームの方が定着しているが、わたしは敢えて原音に近いティームと発音するので生徒が笑うのである。
わたしは最近の閉会式をいつも楽しみにしている。高Ⅲ生のサプライズがあるからである。
わたしは閉会式の最後に、高Ⅲ生の勇姿を後輩たちに紹介することにしている。
全員が座っている中で、高Ⅲ生に立ってもらって、高Ⅲアトラクションの見事な演技への拍手を全員の生徒にお願いする。そして、今年は「高Ⅲ生からサプライズがあります」と高Ⅲ生に振った。すると高Ⅲ生の一人が駆け足でやってきたので、わたしは持っていたマイクを手渡した。生徒はすぐに高Ⅲ生の前に立ち、保護者とご家族、そして教員団に向かってお礼の言葉を述べた。そして高Ⅲ生を鼓舞し、次の生徒にマイクを手渡した。生徒が述べた言葉を正確に覚える余裕がないほど、あまりにも感動的なシーンだった。次の生徒は、後輩たちが座っている南の端から北の端までウエーブをすることを求め、端から端までを走って往復をし、全体を鼓舞した。
最後の校歌は全校生が肩を組んで歌った。愛光中学と高校が一つになったと感じさせるとても印象に残る場面であった。