過去のチュータのひとりごと

(2025/06/15)チュータのひとりごと 第800回(生徒との思い出)

 「チュータのひとりごと」が800回目を迎えた。2000年に始めたシリーズが25年間続いているということはありがたいことである。今回の800回記念は、「生徒との思い出」について語りたい。
 学級担任をしていた時に、運動会等の大きな行事の後、自クラスの生徒を自宅に呼んで「寿司パーティ」を開いたことが記憶にある。
 自宅が学校から近いこともあり、行事が終わってから、クラス全員の生徒が家の中や庭に集まり、談笑しながら一緒に寿司を食べたものである。
 また、「焼肉パーティー」も楽しい思い出である。
 高Ⅲの体育大会であったと記憶しているのだが、クラスが優勝して祝勝会をやろうという提案が生徒からあった。そこで、大街道にあった焼き肉店に予約を入れ、クラス全員で出かけた。ジュースと焼肉食べ放題で一人2,000円に値引きしてもらって祝勝会を開いた。この時の会計は50人で10万円であった。祝勝会であったこともあり、これをポケットマネーで支払った。もちろん、生徒は大満足であったに違いない。
 ところが、この話が教員の中に広がり、当時の校長先生の耳に入ったようである。直接呼ばれて注意を受けることはなかったが、会議の席で、「とんでもなく高額な祝勝会をした教員がいる。今後このようなことがないように。」と注意を受けた。
 当時、わたしは生徒に支払わせたのであれば問題であるが、自分が支払ったのだから問題ないではないかと思っていたが、他クラスの生徒にしてみれば、チュータ先生のクラスでは先生がお金を出してくれたとなって、自分たちもそうしてほしいと訴えたようである。もっともな話であると思い、それ以降は大きな祝勝会を開くことを自粛した。
 話は変わるが、「第4回チュータのひとりごと」で「一杯のみそラーメン」というタイトルで紹介したように、わたしはその後も、生徒から「相談がある」と聞いたら、一緒に食事に出かけることがある。担任のように毎日顔を合わせているわけではないので、一度か二度校内で会って話をしても、なかなか心を通じ合わせるのは難しいと考えるからである。
 これを見事に解決してくれるのが食事である。「一杯のみそラーメン」では相談事に触れることなく生徒の心配事は消えた。この経験から、一緒に食事をすることが生徒と心を通わせるためのベストな手段だと確信するようになり、その後も続けている。
 10年以上も前になるが、一緒に*「さくらの湯」に出かけたこともあった。互いに背中を流しあったことが思い出である。しかも、たまたま広い湯船に同窓生がいて、湯船談義が続き、湯あたりしてしまったこともあった。この生徒は、大学入試の時に、「さくらの湯」で購入したタオルを鉢巻きにして受験し、見事に第1志望大学に合格したと聞いた。また、大学入学後、部活動に所属し、最初の作品をわたしの自宅に送り届けてくれた。今もガラス棚に入れて大切に保存している。
 生徒のプライバシーに関わることであるため、詳しくは書けないが、相談事があると聞くと食事に連れだって行くことがよくある。すべての相談がうまく解決に至るわけではないが、少なくとも生徒との信頼関係を築くことはできる。
 昭和的なやり方だと言われるかもしれないが、今、自分にできる、いや自分にしかできない方法だと思い、今後も続けていきたいと考えている。
 「教育とは卒業後の思い出なり」、生徒の思い出作りに参加できることが教員の最高の喜びではないかと述べて第800回の話を終えたい。
 *さくらの湯  東温市にある市営の温泉で、泉質が素晴らしく、肌がすべすべになる。

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