生まれ故郷、興居島(ごごしま)の由良小学校で5、6年生の担任を、そして興居島中学で社会の教科担任をしてくださった山口勇先生のご自宅をゴールデンウィーク中に訪問した。
きっかけは4月25日(金)に朝日新聞に掲載された記事、『「名門校」の日々つづった四半世紀』の中で、「島での個性的な教師たちとの出会いから教育の道に進んだ」という部分であった。
この記事を読んだ同窓生の一人から、「個性的な教師って誰のこと?」という質問があった。その時、すぐに「山口勇先生」と答えた。
先生との思い出は授業のこともあるが、小学校の学芸会でシェイクスピアの「ベニスの商人」や狂言の「附子(ぶす)」を演じさせていただいたことで、今でもセリフの一部を覚えているほど強烈な思い出として残っている。
また、当時先生方には宿直の制度があって、月に何度か学校に宿泊しなければならなかった。山口先生が宿直の時は「今日は宿直だから、皆で学校へ来なさい。」と言葉をかけていただき、何名もの生徒が学校の宿直室に招かれた。部屋に入ると、いつも「柿の種」が用意されていて、楽しみであった。今でも、「柿の種」が好物の一つであるのはこの時の味を忘れることが出来ないからである。皆で宿直室の畳に車座になり、先生の話や友人の話を聞くのが楽しみであった。
ご自宅の住所を車のナビに入れて訪問したが、ナビは遠回りをするコースを選んだため、到着するのにずいぶんと時間がかかった。呼び鈴を押すと、先生は玄関まで出てくださった。わたしの名前をフルネームで覚えてくれていた。玄関先でしばらく近況を話し、車を道端に停めていたので、「またお伺いします」と言って失礼した。
先生は孫やひ孫のことを嬉しそうに語ってくれた。その表情に由良小学校時代の先生の姿が重なった。後日、同窓生に先生の写真をメールで送ったところ、懐かしい姿に大喜びしてくれた。
(山口勇先生には名前を掲載する許可をいただいています。)