人間の世の中が助け合いの仕組になっていることは、少し考えてみれば分かることです。例えば、今日皆さんが胸につけているコサージュ、これを自分一人で一から作りなさいと言われたら、果たして作り上げることができるでしょうか。もしかしたら一生かかっても完成出来ないかもしれません。このように考えてみると、人は一人では生きていけないということが理解できると思います。この地球上で人間は助け合いをしないと生活していけないように仕組まれているのです。
そして、大切なことがあります。個々人が世の中で知らず知らずのうちに積み重ねてきた怒り、憎しみ、怨み、強欲、傲慢等の自己中心的な心の使い方が徳分を打ち消すことになることを忘れてはいけません。
そして、人助けによって積み重ねてきた徳分、つまり、「善」も、また自己中心的な心遣いの「悪」もすべて自分に返ってくることを意識しておかねばなりません。
「やっただけが返ってくる、だから人生は面白い」とわたしは色紙によく書くのですが、「原因と結果の法則」によって、善悪ともにわが身に返ってくることをわたしたちはしっかりと心に留めておかねばならないのです。
徳分を消してしまわないための心遣いは、以前からお伝えしているとおり、「感動、喜び、いきいきわくわく」で生きることです。
「感動、喜び、いきいきわくわく」は悪の心遣いを寄せ付けないだけでなく、心に積み重ねてきた塵(ちり)や芥(あくた)を払ってくれるからです。
「世界的教養人」、そして「愛と光の使徒」とは、このようにして徳分を積み重ね、さらには知性を磨いてきた人間のことを言うのではないかと述べて皆さんへの餞の言葉とします。
最後に、保護者の皆様に対して、一言ご挨拶を申し上げます。
本日をもって皆様とお別れすることは寂しい限りでございますが、どうぞご子息・ご息女の卒業後も親しくご交誼を賜りまして、末長く学園の将来を見守り、ご指導いただけますよう心よりお願い申し上げます。
それでは68期生の皆さん、お別れです。愛光学園の卒業生として、聖ドミニコの理想、深い知性に裏づけされた信念と、清い人生観より生まれる高潔な徳性を兼ね備えた「世界的教養人」、「愛と光の使徒」として世界に羽ばたいてくださることを期待し、それぞれの道での健闘と幸福を心よりお祈りいたします。