チュータ日誌

(2018/10/17)医学部の先輩からのアドバイス(グレトラ物理より)

「グレトラ物理」から、またまた優れた記事をお借りしました。

すでにおなじみかと思いますが、物理担当のY先生による物理の教科通信「グレートトラバース物理」には、物理系の豊富な話題から、物理の学習法、成績優秀者の表彰、卒業生からのメッセージなど、大変参考になる記事ばかりです。

グレトラの以前の記事はこちら

 

今回は、国立大学医学部医学科4回生(当時)の先輩が、在校生からの質問に答えてくれています。

在校生からの質問

医学に興味はありますが,文系の進路にも興味があります。進路をどのように決めていったらいいでしょうか?

 

医学部の先輩の回答とアドバイス

私は高校では文系が得意科目で、理系を選択したときには同級生に驚かれましたし、結局、センター試験でも、日本史が高得点で、物理・化学が苦手科目でした。

高校2年生の時には模試の物理で100点満点中4点を取ったこともあります。

けれども、物理を含めて理系科目は大学受験が終わるまでずっと「点は取れないけれど好きな科目」でした。

物理も化学も数学も良い点を取れるようになったのは浪人の後半の時期でしたが、嫌いになったことは一回もないです。それに関して、愛光の物理・化学・数学の先生にはすごく感謝しています。

 

 私の場合は「医者になりたい、だから理系科目を頑張ろう」という思考で、迷わずに理系を選びました(一応、文系も考えはしましたが)。

 最終的には自分で決めることなのですが、私は「もしその道に行ってつらいことがあっても、その世界に行ったことを後悔しないこと」あるいは「たとえその道に行くことがかなわなかったとしても、その道を目指して努力したことを後悔しないこと」が大事かなと思います。

 

医学部ってすごいこと、大変なこと

 愛光にいるとわからないですが、医学部に入る/目指すということはすごいことです。浪人中にも塾の同じクラスの人で医学部に行けた人はそう多くなく、結局医学部に進めなくて他の道に行った人も多かったです。

医学部に入ってからも「本当はお医者さんになりたかったけど、頭が追いつかなくて看護の道に来た」という看護学生の話を聞いたりもします。

今の自分はそういう人の分の気持ちも背負ってここにいるのだという気持ちは、医学部に入ってからも忘れたことはないです。

さらに言うと、医学部を卒業しても国家試験に合格しなければ「ただの人」です。企業から見ると「医療知識しか持っていなくて免許がない人」は使える人材ではないので、そこからの就活も難しいです。

なので、極端かもしれないですが、医学部をもし目指すのであれば、「医者になろうと思って頑張って、もしだめで他の進路に変えることになっても、その間に医者を目指したことを後悔しない」という覚悟もした方が良いと思います。

 

自分は医者に向いているのか?

現在は、医学部に入って4年目ですが、自分に医師が向いているかどうかは正直に言うとわからないままです。前に読んだ『フラジャイル』という医療マンガでも「医者なんて自分には向いていないと思うくらいでちょうどいい」という台詞もありましたし、実際にその通りなのかなとも思います(人に薬物を入れたり、刃物で切ったり、針を刺したりしたりすることが普通の世界は、端から見て変ではありますよね)。

ただ、医学部に来たことを後悔はしていないです。今は特に試験続きですし、睡眠3時間、ひどいときには徹夜、、、そんな日々です

それでもみんなで「医者の不養生なんて、まさにこのことだよね(笑)」って感じで、後悔している人や嫌だと言い出す人はいないです。私の周りのみんな、自分の決めた道を精一杯やっているのだなと思います。

 そして、もっとすごいことを言うのなら、英語や国語で医療に関わることも実は可能なんです。たとえば、日本人が書く医療論文の英文を校正する職業の話を聞いたことがあり、その人によると「良い内容の論文でも文章や構成がうまくいかなくてアクセプトされないものも多い」とのことです。日本語であるならば、いま大きく言われているのは医療用語です。一般の人に医療面接をするにも医療用語は難しいものが多く、説明したりするためのガイドラインの作成が行われたりしています。医療にかかわる仕事として、そういった方向を考えてみてもよいのではないでしょうか?

 たとえ、どの道に進んだとしても、「この仕事/進路で良かった」と10年後の自分が一番 思えそうな進路を探してもらえればと思います。

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