もうすぐ創立70周年を迎えようとしている愛光学園の歴史について、創立当初からふり返ってみていく記事を不定期でアップしております。
前回の記事では、創立後の教育内容の充実についてご紹介しました。
今回は、創立後からの宗教教育についてご紹介します。
ドミニコ会ではキリスト教の教えに基づいた宗教的道徳的価値観を日本社会に根付かせるために学園創立を図ったわけだが、
愛光学園では創立時において宗教教育を前面に押し出すことを避け、宗教教育に関わる授業科目も「社会倫理」とした。
授業については、1953(昭和28)年の開校当初から、ドミニコ会の神父が担当してきた。カトリック信徒である教師が当たることもあった。
その後、「社会倫理」は、科目として「宗教」「道徳」、社会科としての「倫理」に分けられるなど変遷を経るが、一貫して「愛と光の使徒」の養成を目指す教育 は営々と継続されている。
戦後の復興、高度成長、バブル崩壊と変転する社会にあって、学園では時代を見つめつつ、さまざまな方法を探りながら、心の教育としての倫理(徳性・宗教)教育の充実に取り組んできた。
学園で17年にわたり英語と宗教を教えたサルバドル・ルイス神父は、以下のように述べている。
「ミッションスクールとして、生徒への宗教的教育は忘れることができない。(ただし、)子どもを学園に通わせているほとんどは信者の家庭ではないということも、また忘れることができない。従って、これらの家庭で望んでいることは、息子たちにできる限り完全な教育を与えるということである。(中略)
社会倫理 という名の科目を通して、学生は学園に入った最初からキリスト教から見た人格についての超自然的な諸問題に触れる。すなわち、人間の精神的価値、魂の不滅、神の存在、神性、摂理、人間の運命などについての問題である」 (1972年)
また、第3代理事長のサトルニノ・ゴンザレス神父は、『日本 ドミニコ会75周年』(1979年刊)で次のように述べた。
「年々改宗する人数統計から学園での宣教を評価するなら、教授である神父たちと学園の宣教活動は批判されるだろう。学生も教師も洗礼を受けた数は少なく、人間的な考えでは無駄な仕事であることになる」(中略)
「(しかし、)前福音化という意味でキリスト教布教の役割を果たしているといえる。日本における高い改宗率は、(カトリックの)学校の多くの生徒の中にまかれた種が熟した実である」「まかれた種が芽を出すように、時が来たら恵みの雨が私たちの宣教への熱意と祈りによって降るであろう」
開校当時からクラブ活動として「宗教講座」があり、生徒のほか、カトリック信者の教師も参加して、スコラ哲学を学ぶなどしていた。その後、「宗教研究会」という名称となり、1966(昭和41)年に「宗教部」、1999(平成11)年から「カトリック学生の会」と改称して、現在に至っている。
「愛光学園50年史」 愛光学園 発行(2002)